鋼鉄
□休日の過ごし方
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「ねぇ、どっか出掛けないの?」
「……」
「ねぇってば。魯ー粛チャン」
趙雲が帽子を引っ張る。危うくずり落ちそうになったそれを片手で押さえて戻しながら魯粛は溜め息を吐いた。
「出掛けたければ出掛ければいいでしょう。私は此処に居ます」
「そうやってずっとそれ読んでる気?頭にキノコ生えるよ?」
「生えません」
「あーぁ、せっかくの休日がもったいないとか思わないワケ」
「何をしてなくても貴方にかまってるよりマシです」
一度も趙雲を振り返ることなく、きっぱりと斬って捨てて魯粛は再び書に目を戻しかけた。しかし一度も振り返らなかったが故に、魯粛は趙雲の表情に暗い影がよぎったのにも気付かなかった。
瞬間、帽子を強く引っ張られ、今度は完全にそれが頭からずり落ちる。
「ちょ、何するんですか…、っ?!」
今度こそ趙雲のほうを振り返った魯粛は、しかしその瞬間、隙が出来た首筋に冷たい手を差し込まれて、椅子からも転げ落ちた。
打ち付けた腰より反射的に趙雲からの第二派を恐れて首を竦めながら振り返ると、そこには見たこともないような薄い笑みを浮かべた趙雲が立っていた。
「ナニって、構ってくれないんでしょ?」
「い、言ってる意味が、よく分かりません…っ」
と言うより出来れば分かりたくない。
しかしそんな魯粛の願いも空しく、趙雲はその笑みのまま怖いくらいにこやかに言い放った。
「僕が構ってあげるよ」
ちなみに、語尾にハートマークがつきそうな勢いで微笑んだ趙雲ほど怖いものはないと、この時魯粛は初めて思い知ったという。
end.
ギャグちっく趙魯。
魯粛はこのあと趙雲においしくいただかれty。(終われ