鋼鉄

□休日の過ごし方
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「暇だから遊びに来た」

「は?」

いきなり魯粛の私室にやってきた趙雲はそのまま部屋に入ってこようとする。それを見た魯粛は読んでいた書を放り出し、慌てて立ち上がった。

「何勝手に上がり込もうとしてんですかっ」

「何って…、『だから遊びに来」

「た』、じゃありませんよ帰ってくださいっ」

部屋の入り口で押し問答を続けること数分。
結局無理やり押し込まれ、趙雲の侵入を許してしまった魯粛は貴重な休日の半分以上を取り上げられることになった。





【休日の過ごし方】





「ねぇ」

「…」

「ねぇってば」

趙雲に勝手に部屋に入られ、そのまま居座られることになった魯粛は悩んだ挙句、その存在を極力無視することに決めた。
ただでさえ忙しい執務を圧しての有給休暇である。どうせいつものようにからかい半分できたのであろう男のために潰すわけにはいかない。

最初は人の寝台に勝手に寝転がり、果てには大事な書簡のある棚の中を弄ってみたりと部屋の中を好き勝手に弄くりまわしていた趙雲は、しかしそれでも魯粛が書を読む手を止めないと分かると流石に飽きたらしい。その矛先を完全魯粛のみに絞ってきた。

魯粛してみればいい迷惑どころか大迷惑である。
帽子の布を何度も後ろから引っ張られ、流石に書に集中することが難しくなってきた。


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