鋼鉄

□宵の城
4ページ/5ページ







「……へぇ」




意外だった。
意地を張っているようにも、虚勢であるようにも見えなかった。だとすれば、こちらの読みが外れていたのか。

――面白い

どちらにせよ、それは趙雲の加虐心に火を付ける以外の効果をもたらさなかった。

そういつも容易く攻略出来てしまっては面白くない。戦と同じだ。今の魯粛は、さながら落とし難い堅固な城といったところか。謀略を用いじわりじわりと守りを崩し、徹底的に叩き潰してこそ、快感にも似た楽しみが生まれる。

――此所に来たのは正解だったな

追い込まれ、狼狽する魯粛を想像して趙雲はニィ、と唇の端を吊り上げた。それは見た者に恐怖を与える、酷く凶暴な笑みだった。






.
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ