その他

□怖がり
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(※注意、にんじゃの卵現パロで文三木です。それも浮気の話でキャラ崩壊あり?、暗い話なので苦手な人はリターンお願いします)








 ずるずる、と三木エ門は自分の肩に腕を乗っけている男を引きずった。息をしているため死体ではない。しかし冬でもないのに男の鼻は赤かった。それに酒臭い。

「三木、すまねえ」

男が息を切るように言った。小柄な三木エ門は背負い直すとまたずるずると引きずった。

「いいんです、替わりに今度何か奢ってくださいよ?」

「考えておく、」

男はそう答えると頭を項垂れた。三木エ門とその男との関係は部下と上司である。職場の飲み会に付き合わされた帰りであった。三木エ門は酒をあまり飲まなかったが男は勢いよく飲んでいた。そしてこの有り様である。きっと二日酔いをするだろう、三木エ門はそう思った。

「三木、三木、」

「はいはい、もう少しで家ですからねー」

いつもは部下たちに怒ってばかりの男だが甘えた声も出すのだ。しかし、それは三木エ門だけで聞く本人は自分だけにだと思うと嬉しかった。この二人の関係は上司と部下である以前に肉体関係もある。男に子供が二人いるが、三木エ門にはいないし彼女もいない。しいてゆうならこの酒臭い男が恋人である。
先ほど男の妻には帰れないと三木エ門が連絡をしておいた。いつもお世話かけます、と奥さんが優しい声でそう言っていた。後ろでは子供のはしゃぐ声も聞こえた。三木エ門は彼女らに対し何も思っていない、罪悪感も持ち合わせていない。しかし、三木エ門のどこか奥底でひっそりとしているものがあった。口にすればこの関係は終わるのだろうそんな予感。
不意に男が三木エ門の首あたりを抱き締めてきた。重みが一層のし掛かる。

「重いです、先輩」

「三木エ門、」

呼ばれただけで三木エ門は頬を赤くした。向かう所は三木エ門が一人暮らししているアパートで、きっと家につけば事に及ぶのだろう。いいや、そのために三木エ門は男を引きずってきた。


「先輩、好きです」


大きな腕を掴み三木エ門は呟いた。男はそんな三木エ門が愛しくて首筋にキスを落とした。くすぐったいです、と三木エ門は小さく笑う。

「さあ、早く帰りましょう」

ズルズルと男を再び引きずった。もうアパートは見えているが三木エ門の鼻は赤くなっていた。








恋愛に臆病ではない、けれど怖がりなんだ












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ひどいおはなしですみません。いつか関係が終わると思っている三木の話。
080828

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