甘い空気な文!

□セーター
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(※R16剣♀河/"焼き鮭"の続き)















 目の前に差し出されたのは紙袋だった。テレビを見ていたのに、といっても面白いとも思っていなかったが遮られたせいか剣崎は相手を睨み付けた。その相手である河井は澄まし顔である。

「この間のお礼です」

なんのことだと考えた剣崎だが、ああ、と一人納得した。河井に服をやったのだ。だが、せっかく女らしい服をあげたのに今日は着ていない。無地のTシャツに黒色のレギンスパンツだ。剣崎が紙袋を受け取ると、河井もソファーに座った。剣崎は別に今紙袋を開けなくてもいいかと思っていたが、横に座る河井の視線が気になってしょうがない。これは開けろと言っているのと同じだ。しょうがなく剣崎は紙袋を開け、中身を取り出した。紙袋に入っていたのは服で、赤色のセーターだ。眩しくもなく暗くもない赤は良質を感じさせた。ただ問題なのは今は夏場であるということだ。赤は暑く見え、夏セーターなら良かったが明らかに冬物である。

「嫌がらせかよ?」

怒ってはいないが、多少呆れに近かった。剣崎はフッと笑うと河井も笑う。

「たまたま見つけて。でも、良い色でしょ?あなたに似合うと思って」

デパートで買い物をした際見つけたものだ。夏だからといって涼しげなシャツを買うより、剣崎に似合うものを重心して買ったものだ。

「フッ俺は何でも似合うんだよ」

「はいはい」

相変わらずな人だなぁ、と河井は思ったが笑った。すると、おもむろに剣崎はシャツを脱ぎ出した。これには河井も驚いた。シャツを脱ぎ捨てると貰ったセーターを剣崎は着たのだ。赤のセーターは確かに似合っている。自分の目は確かだと河井は思ったが、照れてどきどきするばかりだ。

「あっつ」

ふぅと剣崎は息を吐いた。この部屋は扇風機しかない。暑いのは暑いが、河井は違う意味で熱い。

「あ、当たり前ですよ。うわ、」

急に剣崎が河井に抱き付いた。セーターがあるだけで暑く見えるというのに抱きしめられてもっと暑くなった。扇風機の首が回っているが効き目なんて当にない。

「抱きつかないでください」

密着するだけで暑い。だが、恥ずかしがっている河井だが満更でもない様子である。だから、引き離そうとはしない。剣崎は性格が素直ではないので有難うとは決して言わないが、その代わりにキスをした。口内は熱かった。

「いっ、ちょっと」

剣崎の手が河井の服の中をまさぐる。熱い手のひらだ。河井は息を呑んだが抵抗はしない。そして、手はとうとう上へとたどり着くと胸を触った。ブラジャーの刺繍が入った柄と針金をなぞる。剣崎の眉毛がぴくりと動いた。ずるずるとTシャツを捲りあげると、可愛いピンク色をしたブラジャーが目に入った。先日あげたものだ。

「下着はちゃんとあげたやつ着けてんじゃねぇか」

「…偶然ですっ」

ぶすっと照れて言う河井に剣崎はにやにやと笑う。そのまま手はブラジャーの中へと手は入った。河井の肩がびくりと動く。とうとうそこで抵抗する河井の手がセーターを掴んだ。ぎゅっと力を込めるものだからセーターは伸びている。

「服伸びんぞ」

剣崎は笑っているが、河井は顔が真っ赤だ。すると、河井の体を触っていた剣崎の両手は名残惜しそうに離れた。剣崎としてはこのまましてもよかったが、何分ここは合宿所である。一緒に合宿をしている竜児ら三人に見つかれば大変なことになるだろう。三人が今外出中で良かった。

「もうあいつら帰ってくんじゃねぇか?」

ソファーから立ち上がろうとした剣崎だが、セーターを引っ張られた。新しいセーターが伸びる。河井は顔を赤くして上目遣いで、唇を噛んでいた。剣崎もその表情にはさすがに参った。これは暑さのせいだ。いや、この暑苦しいセーターのせいだ。剣崎はソファーに座り直すと河井のじわりと汗ばんだ額にキスをする。

「じゃあ、脱がしてくれよ?」

剣崎はにやりと意地悪な顔をするのだった。















赤色セーターの誘惑

















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あやうくにゃんにゃんしてるとこに入りそうだった。剣崎に脱ぐ〜…って台詞言わしたかったんだよ…。なんで河井さんが女の子の格好してないかというと街で散々ナンパされたからという裏話。
110626

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