甘い空気な文!

□高さ逢わせ
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(志那石)









 身長が高くていいことは上の物を取れることと景色が良いぐらいだ。志那虎はそう思いながらも若干足を曲げる。背が高い志那虎にはこの体勢は厳しいのだが、目の前にいる小さな彼には逆らえない。

「志那虎のだんな、もうちょい下げて」

むっとしながら石松が志那虎の少し下で言った。

「ああ、すまん。こうか?」

中腰にするとやっと石松と顔が近くなった。ただ若干まだ志那虎の方が高い。いまからすることは志那虎から言えば接吻である。本当は数分前に接吻はした。それは志那虎が大袈裟にしゃがみ、石松を見上げるぐらいでしたのだがそれがいけなかった。石松はキーッと怒った。「それぐれぇい届くわい!」今日の石松の名言である。さすがは負けず嫌いだ。といっても志那虎が背を伸ばすと接吻は届くわけもないので、少しずつ足を曲げている。正直足はふるふると震え耐えている。

「ま、まだか…?」

「あと少し、だっ…!」

石松は口を尖らし目をぎゅっと瞑っている。頬は照れくさいのか赤い。志那虎も照れてはいるが接吻に一生懸命な石松がいとおしくて仕方がない。この時ばかりは自分の身長に感謝する。この高さじゃないと見れない顔だ。

「(頑張れ石松…)」

声には出さないが志那虎は石松を応援している。

「な、なあ、だんなはもう背低くなんねぇのかよぉ?」

石松は口を尖らせたまま聞き、志那虎は足腰を踏ん張りながら答える。

「そ、そいつはさすがに無理だな」

「そ、そうか」

届かない、と石松はうーんと唸っている。志那虎は目を泳がせてから若干またしゃがんでみた。そして、やっと石松がちゅっと音をたてて接吻をしたのだ。一瞬の出来事だが、胸に溢れるものはいっぱいである。ようやく志那虎の足も解放される。腰を軽く回し、背伸びをするとどこかで骨のなる音がした。石松は満足そうにニシシッと笑うので、志那虎は体の痛さなんて忘れてしまった。

「いつか身長越してやるからな!」

石松が自信満々に話すと、志那虎は顎を手で触りながら首を傾げた。それからほんの少し頬を赤らめた。

「俺はこのままでいいかもな…」

「なっ!?俺がちいせえままでいいってことかよぉ!?」

「おいおい、そういう意味じゃないぜ?」









高さ逢わせ














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身長差の話かいてなかったなーと思いまして。せらむん映画見てうさぎとまもちゃんのきすシーンが好きで書きました。
111014

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