春よ来いな文!
□酔っ払い記
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(Gガン/チボジョル。CPは薄いです、ギャグより)
ガシャン!
と道端で大きな音が響いたのは深夜である。ジョルジュはうんざりする。音の原因は、酔っぱらって目の前でゴミの中に寝ている男である。ネオアメリカのヒーローであるはずのチボデー・クロケットだ。ヒーローのはずのこの男はただの酔っぱらいだとジョルジュは思う。迎えに来てくれと連絡があってジョルジュはここに来たのだが、この有り様だ。
「早く帰りましょう」
ジョルジュは言った。チボデーはゆっくりと起き上がるが目は虚ろで、よたよたと足は覚束ない。
「おー!シャリー!待ってたぜー!」
ぷつん。
とジョルジュの中で音が切れた。
「貴方は彼女たちと間違って私に連絡してきたんですよ、何度も何度もね!」
最後は声を張り上げた。静かに読書をしていたというのに酔っぱらいからの連絡。もちろん無視するつもりだった。しかし、「待ってるぜー!ジャネット!」とチボテーの大声が嫌に耳に残り、早めの就寝しようと目を瞑れば頭にその声が響いてくるのだ。一発ファイトしなければ気がすまなくなり、しょうがなくジョルジュはここに来たが後悔している。来れば既に酒場の店員と客らに追い出され、ファイトが終わっていたからだ。
「さぁ、行きますよ!」
ジョルジュは歩き出した。決して手助けをするつもりはない。ジョルジュが前を歩くとチボデーはいつものようにズボンのポケットに手を入れながら歩く。転びそうで転ばない器用な歩き方でついてくるが距離はどんどん遠ざがってゆく。
「待ってくれよ、バニー。」
「ジョルジュです!」
相変わらず名前を間違える酔っ払いにジョルジュは早歩きをしてもっと距離を開けようとしたが、勢いよくチボデーはいきなり後ろから抱き着いてきたのだ。長身の男が急に寄っ掛かってきたものだから、ジョルジュは転けそうになる。一歩足を出し踏ん張って転けることはなかったが、チボデーは背に乗ったままだ。
「何をするのです!」
「キャスーベッドに連れてってくれー」
もう呆れ果ててジョルジュは何も言わなかった。ここに来たということは、彼を送らなければいけないということだ。溜め息ばかりである。
「はぁ…最悪」
ジョルジュは肩にチボデーを背負い直すと少しずつ歩いた。彼の介抱をする女性クルーたちのことを思うと大変ですねと他人事に思ったが、確かに大変だと改めて考えさせられた。
「ありがとよージョルジュー」
不意にチボデーが耳元で名前を呼ぶ。熱い息が耳にかかった。こそばいその声にジョルジュはどういう顔をすればいいのかわからず、曖昧に笑ってみせた。感謝されることはやはり嬉しい。ジョルジュは素直にそう思った瞬間ぶちゅり、とチボデーはジョルジュの頬にキスをしてきたのだ。ジョルジュは固まった。まるで停止した機体のようだ。とろんとした目でチボテーはジョルジュを見た。
「お礼だよ、お礼ー!んー?照れてやんのー?」
酔っ払いは調子にのって二度目のキスをしようとしたが、ジョルジュはおもいっきり蹴飛ばしてやった。再びガシャン!と路地で音が響いたのは言うまでもない。
嬉し恥ずかし酔っ払い記
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Gガンおもしろい、面白すぎる。思い付きで書きました。二人は喧嘩しても普通に仲良いよなあ。
110119