春よ来いな文!

□お泊り会
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(鳴門/シカキバ)










「今日も泊まんのか?」

 風呂上がりのシカマルは濡れた髪をタオルで拭きながら、来客であるキバに聞いた。キバはクッション代わりに枕を抱き締め寝転がってテレビを見ている。キバの近くにはポテトチップスやらチョコレートやら菓子が散らばっていた。そのポテトチップスの袋に手を入れ取り出してから返事をする。

「当たり前じゃん」

パリッと乾いた音がキバの口から聞こえる。テレビのCMに出来るような良い音だ。シカマルは溜め息をつけるとキバの少し後ろに座った。二人はテレビを見始めたが、シカマルは内容に興味がなくぼんやりとした。
キバが急に連絡もなしに奈良家に泊まりにきてもう5日以上だ。最近は当たり前のように母親が夕飯にキバの分まで作る始末である。父親なんてキバを自分の息子扱いして気に入っている。泊まりを拒否する理由もないのでシカマルはキバを迎え入れていたのだが、部屋にキバの私物が増えてきたことに焦った。着替えやらタオル、歯ブラシ、漫画。歯ブラシなんて洗面所にあるシカマルのコップに2本歯ブラシが入っているのだが1本はキバのだ。まるで同棲のような雰囲気。これにはさすがにシカマルも赤面してしまった。

「お袋さん心配すんだろ?」

シカマルは胡坐をかきながら聞いた。すると、キバは口にポテトチップスを口に含みながら答えた。

「母さんにはちゃんと言ってきたぜ?」

よく考えてみれば里の中ですぐに家に帰れる距離だ。それに歳もそうだ。子供ではない。大人でもないが。

「それに迷惑なんてかけてない…はずだろ?」

途中で言葉が詰まったのは心当たりがあるからだが、キバは笑顔で誤魔化した。シカマルは相変わらずの溜息をつけたが、小さく笑ってもみた。シカマルはキバを追い出そうとは思っていない。好きな奴を追い出すなんて出来るはずもない。ただなんというか自分の性格は一番よくわかっている。キバみたいに素直ではないし、イノみたいにお喋りでもない。チョウジみたいに優しくも出来ない。

「なあシカマル、今日は一緒には寝ようぜー」

テレビを見ていたキバはシカマルの首筋に抱き付いた。風呂上りのせいかくっつかれると熱い。シカマルは「熱い離れろ」とぐいぐいとキバの顔を押す。

「なんでいちいちお前と寝なくちゃならねぇんだよ」

「楽しいと思うんだけどなぁ。いつも赤丸と寝てんだけど、安心すんだよ」

「俺は犬かよ…」

ちなみに赤丸は外で寝ている。さすがに部屋に二人と一匹は狭い。キバはシカマルから離れるとさっきのように枕を掴む。いつもシカマルは布団を二人分きっちりとひいてくれるのだが、キバは不服に思っていた。

「一緒に寝てくれたら帰ってもいい…ぜ?」

キバは拗ねてしまった。そんな寂しそうな顔をするんじゃない、とシカマルは額を押さえてまた溜息を吐き出した。

「じゃあ、尚更一緒に寝れねぇじゃねぇか」

これはシカマルにとっての精一杯の一言だった。体中が熱い。特に顔が熱い。風呂に入ったから熱いんだ。そうだ、そうに違いない。シカマルはがしがしと頭を掻いた。しかし、キバは何も言わない。どうしたのかとシカマルはキバの顔を覗いてみたのだがキバも顔を耳まで真っ赤にしている。柄にもないことを言うもんじゃないと思っていたが、ある意味言って良かった。

「いっ…今の間違い!一緒に寝てくれなかったら俺は帰る!」

「へいへい」












楽しい楽しい
お泊り会



















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男の子してる二人が好きです。キバが好きです、うん。
120821

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