青い春な文!

□小さじ
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 体内時計は正確である。剣崎はぱちりと目を開けるとベッドから降りる。この時間はランニングをする。毎日の習慣なのだ。散らばった下着とズボンを見つけ履いてからテレビをつけた。やはり早朝はニュースばかり。ベッドに座ると置いてあったペットボトルの水を飲む。目線はニュースだったが少し見てからテレビを消すと後ろを見た。布団は人間一人分盛り上がっていた。寝息が聞こえる。起こすわけもなく、剣崎は肩を竦めると立ち上がって部屋を出て行った。



 ランニングを終えてからシャワーを浴びて一息ついてから剣崎は部屋に戻った。さっぱりして気持ちが良い。タオルで乱雑に頭を拭いた。ランニングも天気が良く清々しかったが、それでも部屋からは寝息が聞こえた。

「まだ寝てんのか」

髪をタオルで拭きながら剣崎はベッドに近付いた。ベッドに登ると深く足が沈む。ずんずんと歩くと布団の膨らみに剣崎は蹴りこんだ。くの字にそれは曲がる。

「起きろ」

なのに起きない。少し呻き声が上がったのにくの字のままそれは動かなかった。めんどくさくなり、剣崎はどっかりと座るとまたリモコンでテレビをつけた。天気予報をしている。嫌がらせに音を大きくすると、反応があった。布団から河井の顔が出てきた。しかし、目は開けていない。

「おー覚めたか」

「…音下げてください」

「んじゃ起きろ」

顔を出した河井の目はやっと開けたが、虚ろだ。そして眉間に皺もよっている。ずるずると布団を引き摺ったまま河井は剣崎の側にくると、肩に顎を置いた。それでも目は今にも閉じそうだ。

「だらしねぇなぁ」

「あなたのせいで眠いんです…」

「そうだったか?」

ぼやいてから剣崎はまたペットボトルの水を飲んだ。

「朝飯行くだろ、早く着替えろ」

床に散らばっているセーターを拾うと河井に頭にひっかけるよう被せた。最初動きはなかったが仕方なしに着て、ズボンと下着も布団に絡まっているのを探し出すと着こんだ。起き上がるかと思えば、後ろに倒れまた目を瞑り出した。いつも几帳面だというのに朝が弱いだけでこうもだらしなくなるのか、と剣崎は珍しく呆れ果てた。そういえば低血圧だと聞いたことがある。目覚めも悪いらしい。

「おら、行くぞ」

すると河井が上へ向けて両手を伸ばした。

「なんだその手は」

「…起こしてください」

相変わらず寝惚けた声だ。目は開けていない。ふっと剣崎は笑うと手を掴み、起こさせてから抱っこをする。そのまま河井は剣崎の首を抱き締めた。

「とんだ甘えん坊だな」

普段の河井ならこんなに甘えてこない。剣崎はこの時ばかりは世話焼きになってしまうのだが機嫌は悪くないのだ。







小さじに甘え一杯














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またまっぱ!!二人はツンデレだから、どうデレを出すかがいつも難しいです。ツンとデレの対比は剣崎9.5:0.5、河井さん7:3(竜ちゃんの前だと0:10)と思います!
1101113

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