青い春な文!
□わけあり
1ページ/1ページ
(バレンタインデー小説)
さてはてこれは一体なんだろうか。殉は兄の順から箱が入った包みを貰った。なぜ貰えたのか、その中身はなんなのかわからなかった。
「やるよ」
兄はそれだけを言う。殉は少しどきまぎとしたが、包みを開けさせて貰うことにした。どこかの店の銘柄の包みだ。殉はその店を知らない。ただ色や字を見る限り高級感あるものだとは思った。丁寧な包装をされている箱を開ければチョコレートが入っていた。形もそれぞれ違うもので、色も白や茶色、赤色のものもあった。
「ちょこれいと?」
「見ればわかるだろ」
「いや、あまり食べたことがなくて…」
この影道館には洋食はおろか、もちろん洋菓子もない。そもそも兄はなぜくれたのか。殉は腕を組んで考えたが答えが出ることはなかった。
「なぜ私に?」
「別にいいだろ」
深い意味があるようだが順は答えなかった。しかし、殉は素直に喜んだ。わざわざこの影道館まで来てくれたのだ。会えて嬉しいのに物まで貰ってしまった。
「ありがとう兄さん」
「フッ」
「何か御返しさせて頂くよ」
御返しはしなくてはならいと殉は考えた。こんな良い物を貰ったのだ。殉は順に微笑んだ。すると、じっと順は殉を見てきた。睨み付けるようなものではない。ほんのりと目に熱さを感じさせるようなものだ。順は頭をかいた。一瞬殉には兄が照れているように見えたが確信はなく、いつもみたくフッと笑う。
「来月の14日にお返しってゆうもんをくれよ」
「え?一ヶ月先ではないか」
「それでいいんだよ」
意味がわからない。なぜくれたのかも、なぜその日にちにお返しをするのかと。聞くとまた答えないであろう。殉は素直に聞き受け入れることにした。
「じゃあそうさせて貰うよ。あ、さっそく頂きますね」
殉はチョコレートを一つ摘まむと口に運ぶ。あまり味わったことがない味なのだが甘い。香りも良かった。ふと順と目が合えば、箱を差し出した。
「兄さんもご一緒に」
「だから、お返しは来月でいいって言ってんだろ」
一緒に食べて貰いたかったのだが、順は首を振ったのだ。そんなに来月の御返しが都合がいいのだろうか。殉が唯一わかったことはチョコレートは甘く美味だということだった。
わけあり
チョコレート
------------
初双子!だいぶ前から書きたかった二人なんで嬉しい!影道は洋食食べない…はず。
110217