青い春な文!
□やれやれ
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(竜河のバカップルな話)
太陽が顔を出す頃、ここの合宿所では毎朝起きる順番が決まっている。一番は石松だ。最初は寝ぼけ眼でも伸びをすれば目覚めよく飛び起きれるのである。次に志那虎で、実家なら規則正しく目を覚ましているが最近は石松が起こしに志那虎の腹の上にダイブする。
「ダーンナ!」
「うっ!」
志那虎は呻きながら目を覚ましているのが現状だ。
「い、石っ…!苦しい!」
その声に竜児が目を擦りながら起きる。
「またぁ?」
呆れながらも石松と志那虎のやり取りを見て竜児は笑う。そして、最後に河井だけが身動きせず寝ている。あれだけ音に敏感なはずなのに、朝だけは弱いのだ。
「まだ寝てんのかぁ?」
石松がぼさぼさの頭をかいた。石松は河井に対しては飛びのることはない。一度上にのったことがあるのだが、朝の河井は不機嫌で本気で怒られた。だから、もうしない。と言いたいところだったがにやりと笑う。
「竜、河井の上にのってやれい!」
「えっ、だめだよ。そんなことしたら河井さん怒るよ」
「いいから!いいから!」
じゃれるように石松は竜児の背中に飛び付くとこそばす。大笑いする竜児。朝から賑やかなことだ。隙を見たのか石松はドン、と竜児の背中を押した。あっという間に竜児の体は河井が寝ている方へと傾く。
「わあっ!」
「いっ!」
案の定河井の上へと竜児は落ちた。河井は呻いた。不機嫌さ丸出しだ。
「…っ石松!またのって…」
まだ意識が朦朧とする中怒鳴ったところで河井の目には竜児の顔が入った。覆い被さってのいる事実を知る。竜児は申し訳なさそうにしながら謝ったが何分顔が近い。
「ご、ごめん…」
横で見ていた石松がニシシッと笑う。呆気に取られる河井が面白かったからだ。次は河井が竜児を怒るであろうと予想をつけたが、それは意外にも外れたのだ。河井は怒るどころか顔を赤くして、竜児から目線を外したのだ。この空気はなんだと石松と志那虎は疑問を浮かべ顔を見合わせた。その頃、顔を離してから竜児も頬を赤くして頭をかいている。
「本当にごめん、河井さん」
「い、いいんですよ。平気ですから、」
どもる河井と謝る竜児。志那虎の目には二人の間に桃色のオーラが見えるのは気のせいか。それはそうと竜児はまだ河井の上にのっかているから退くべきである。とうとう二人の雰囲気に耐えかねた石松が歯を剥き出しにした。
「なんでぃ!俺と全然態度が違うじゃねぇか!」
訴える石松に志那虎は肩を下げる。確かに河井は竜児と石松に対して態度が違う。ただ桃色オーラを出すのは勘弁だ。河井と竜児だからこそ出せる技である。
「ほら、支度するんだ」
志那虎が両手を音を経てて叩くと、まるで催眠術が解けたかのように竜児と河井は気付いた。本当に二人だけの世界にいたらしい。竜児が河井から退くと、河井も立ち上がろうとしたが手が差し出された。
「はい、河井さん」
手から上へと目線を辿れば、やはりそこには竜児がいて微笑んでいる。照れる河井は竜児の手を掴んで立ち上がったのはいいが、手は放さない。見つめ合う二人にまた桃色オーラが見え始めていた。
「あーもうっ!おめぇら〜っ!」
二人の間へ石松が割って入ったが、河井が石松に気付くと睨んできた。
「石松、あなたが高嶺くんを押したんでしょ!?」
「ぎくぎくっ!」
怒る河井に、反論する石松、その二人の間でにこにことしている竜児、志那虎は額を抑えて項垂れるばかりである。
朝からやれやれ
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一番の苦労人は志那虎っていう話。初心に戻って書きました!当サイトでは河井さんは朝弱いです、低血圧。あくびしてるシーンが好き。
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