青い春な文!

□恥ずかしがりや
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(※R15。描写はありませんがベットの上の話) 













 さっきまで愛を囁いていた口は空気を吸うのに必死である。空気がやたらと美味しく感じるのは自然の中ばかりではない。河井の耳元は剣崎の呼吸でいっぱいだ。河井も負けじと呼吸を大きくする。二人は今しゃべることよりも、呼吸しかしない。さっきまであんなに名前を呼んでいたのに。名字ではない、下の名前だ。でも河井はもう呼ばない。行為の最中なら呼べるが終わったあとは恥ずかしさがあって、呼ぶことが出来ないのだ。それは相手も同じだ。

「剣崎…」

何気に河井は呼んでみる。剣崎が覆い被さっているため呼吸をする度に何も着ていない素肌と素肌が当たる。それぞれの汗が混じっていく。すると、剣崎は河井の顔を両手で包むと汗ばんだ額に数回キスを落とした。そのまま鼻にもキスをして最後は口にキスをする。数分前なら深いキスだったのだが、今したのは軽いものだ。こういう時に河井はやっと幸せを感じる。正直、行っている最中は考えも思いも追いつくはずもなく、理性さえないのだ。泣いて痛がって恥ずかしくなるのが最初で、最後に近付くと恥も捨て欲しがって喘ぐ。やっと胸が落ち着いていくのがわかる。呼吸も整ってきた。目尻に貯まっていた涙がぼろりと落ちる。それを剣崎はべろりと涙を舐めた。河井は顔をそむける。剣崎は満足げに笑う。いつも河井は終わったあと恥ずかしがってふて腐れるか、そのまま寝るかだ。今回は前者である。

「良かったか?」

思ったことを率直に剣崎は聞いた。意地悪な質問だ。すると河井の手は剣崎の手を見つけると繋ぐ。手は熱い。河井は少しの間、何も言わなかったが言う前に剣崎にキスをした。これには剣崎は驚いた。聞くんじゃない、と反論するかと思っていた。

「僕ね、終わったあとが好きなんです」

突然河井がそう言った。まだ額には汗が光っているが顔は爽やかだ。

「やっと実感出来るんです」

「何が?」

剣崎は眉を潜める。河井は目を細める。そして、口元に笑みを浮かべた。

「あなたに愛されてるなぁってことがわかるんです」

言葉を聞いて突然ぼっと剣崎は顔が熱くなった。今表情に出ているのだろうか。不意討ちだ。剣崎は咄嗟に手で口元を隠してしまった。河井は一瞬思ってもみなかった顔を剣崎がしたので驚いたが、笑みを浮かべる。ニヤ、とするそんな笑みだ。剣崎は口をひん曲げた。

「バーカ」

一瞬でも油断したのはこちらに落ち度があった。くすくすと笑う河井に剣崎はむっとして体をどかしふて寝を試みることにした。河井の笑いは止まらない。散々笑って目元にある涙を拭き取った。ちらりと剣崎の背中を見ると表情を緩ませた。

「なんで拗ねるんですかー」

いつもなら恥ずかしがって照れて言えない事を言えたのに、と河井が頬を膨らませる。素直になれない同士の二人だ。河井は剣崎の肩を揺さぶるが、一向にこちらを向かない。

「…拗ねてねぇ」

「それが拗ねてるんですって」

「拗ねてねぇ」

「…そうですか」

気付かれないよう河井は小さなため息をつける。河井は脱ぎ捨ててあるシャツと下着を拾って着衣する。ベッドから降りるとくるりと向いた。

「僕シャワー浴びに行きますが、一緒に行きませんか?」

これで機嫌が少しでもよくなれば、と思い誘ってみる。少しの間、返事を貰えず黙っていた剣崎だったが返事をした。

「…おう」

ゆっくりと起き上がる剣崎に対し河井は微笑んだ。いつもは大人の雰囲気があるはずだが、こういう時は年相応な性格が垣間見える。河井は手を差し伸べた。いつもは俺からなのにな、と剣崎は肩を落としたが手を繋ぐ。しかし、剣崎は立ち上がらなかった。

「じゃあ、普段は俺の愛ってゆうのがわかんねぇのか?」

「そんなことないですよ。…あっ」

何気なしに答えたが、そこで河井ははっと気付くと剣崎の顔を見た。さっき河井が笑っていたようなニヤッとした笑みを浮かべている。もう既に遅し。河井は素直というよりバカ正直に答えてしまったことに、羞恥心がやって来て顔に熱を上がってきてしまった。繋いでいた手は突然剣崎に引っ張られ、河井は再びベッドの上にダイブすることになった。









恥ずかしがりやな口は愛を囁く
















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まとまりがない話かな。剣河はまっぱが書きやすいです、ほんとに。
110504

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