青い春な文!
□おはようじゃなくて
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何年ぶりか、数ヶ月ぶりか、河井は寝坊をした。まさか寝坊をしてしまうとは、少なからずショックを受けている。目覚ましはセットしたはずだが、まだ頭は働いていないようで周りが見えていなかった。実はまだ目も半開きで布団に潜ったままである。河井は朝起きるのが苦手な方だ、だが目指しが鳴れば起きれるし、声を掛けてもらえれば起きれる。そういえば他の皆はと思い、目を開ければ畳まれている布団が重なっているのが最初に見えた。
「(皆起きているのか、)」
少し河井は沈んだ。寝坊は自分自身がしてしまったことだが、なぜ起こしてくれなかったと寂しく思ったのだ。
時計を見れば時間は十時近くを示していた。横向きの体を真上にした時だ、反対側でなにか気配を感じた。ふと向けば同じ布団に潜っている男が一人、
「よお、お寝坊さん」
その男がニヤリと笑った。河井は声を出せない驚きを見せると、力強く拳を男の腹に入れたのだ。
「お、いっ、」
「えっ!あっ、け、剣崎!」
腹に食い込ませた男の名前を出した。やっと隣にいる剣崎を認識したのだ。剣崎は「朝からくらわしやがって」とぼやいた、河井はすみませんと謝ったがなぜここに入っているのかと思った。起き上がった河井だが剣崎は布団に寝転んだままである。
「なぜあなたがここにいるんですか」
「フッ、野暮用だ。おめぇの寝顔見るってな」
「何バカなこと言ってんですか」
そう言って河井は剣崎から顔を反らした、それは呆れたのと恥ずかしさからである。そのため少し顔を赤くさせた。
むくりと突然剣崎は体を立たせると河井に手を差し出した。
「竜児たちが待ってんぞ」
「え?」
「ケーキ作るってな。女々しい野郎たちだぜ」
なぜ、の疑問文が頭を過った河井だったが気が付いた。寝ぼけていた頭はもう完璧に覚めたのだ。
「僕の誕生日だ、」
そう、今日は河井が生まれた日であった。河井は知らないが目覚まし時計を止めたのは石松である、驚かすため秘かに竜児たちがとった行動であった。ケーキを作って驚かす作戦だ。それだというのに剣崎はあっさりとバラしてしまった。
「高嶺くんたちは僕に内緒でしているのでは?」
「そういえばそうだったな、フッ。言ったことは仕方ねえから驚いてやれ」
「、あなたはもしかしてケーキ作りに参加出来なかったことが悔しかったのでは?」
冗談で河井は微笑んだ、剣崎は鼻で笑う。
「フッ、そんなことあるわけねぇだろ」
本当かな、と河井が思ったがあえて言わないことにした。剣崎の手を取ると河井は立ち上がった。秘か竜児たちに感謝した、今日という日のために起こさないでくれてありがとうと。
「行くぜ」
握った手をひっぱったが河井は立ち止まった。
「えっ、着替えがまだ、」
「その寝癖見せつけてやれよ、くくっ」
「!?じゅ、準備してから行きますよ!」
「おう、そうしろ」
剣崎はくくっと笑っている。河井は少し睨んでやったが止めにして着替えを早々とした。なんたって、待っていてくれてる皆がいるのだから。
朝起きたら「おはよう」じゃなくて
「おめでとう」!
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何ヶ月ぶりかの更新です。河井さんだいすき。なんか甘くなったorz
080523