青い春な文!

□面影をみる
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 「ダンナって髪が長いよな」

 髪を遊びなら石松が言った。肩ぎりぎりまでかかる髪をくるくると指に絡めたり、枝毛を探したが見つからず。その髪の持ち主は志那で、風呂上がりのためかいつものリーゼントはなかった。

「そうか?」

「俺ここまで伸ばしたことねぇよ」

石松がクツクツと笑った。志那虎はいいように触らせていたがこそばい。しまいには石松が髪を二つに束ね出した。志那虎は自分の今の髪型を想像すると恥ずかしい気持ちがいっぱいになった。

「やめろよ石、」

「くくっ、妹の髪を思い出してよぉ。よくふたつくくりにしてたんだよ」

故郷にいるまだ幼い妹を思い出してはまた自然に髪を束ね出していた。志那虎にも妹はいるが一切こういうことをしたことがない、思い出すのはあの長く綺麗な髪だ。自分はがさつな方だと思いながら髪を触った。すると石松の手とぶつかり、すぐに手を引っ込めた。

「ダンナも二つくくりしてみねえか?」

石松は面白く笑った。「悪いが断る」と志那虎は少し振り向いて言った。石松はつまらなさそうにちぇっと呟くが手を止めることはない。

「石松は、兄らしいな」

「んだよ急に」

「いや、なんとなくな」

志那虎は石松の幼い頃なんて知らない。出会ったのはこの年になってからだ。しかし、この手は昔から妹の髪を触っているものだと感じられたのは石松の手つきから感じられた。
そして、自分は妹に兄らしいことをしてきたのだろうか。

「もういいだろう?」

志那虎は立ち上がろうした。その瞬間石松の手は宙に数秒浮いたままである。逆に志那虎の大きな手が立ち上がる際に、石松の頭を掴んでは癖っ毛がある髪をくしゃくしゃと撫でた。この時数秒だが石松は驚いてる、目が見開いたままだ。それを知らず立ち上がった志那虎は歩き出した。





「ダンナこそ兄貴みてぇ、」

ぼそり、と志那虎の後ろから声がした。振り向けば歯を見せ笑っている石松がいるが、どことなく顔が赤い。

「…そうか?」

「おう」

訪ねると石松は笑顔で返した。淡々とそんな石松を見たあと志那虎はテーブルにあった新聞を掴んでは再び石松の元へ戻った。石松は上機嫌に鼻歌を歌い出すとまた志那虎の髪を弄り始めた。今は飽きるまで髪を弄らせてやろうと志那虎は心地良さに任せることにした。






知らない面影が見えました






「あっ、ダンナは兄貴じゃなくて親父みてぇだな!」

「親父…、…」







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おちてない\(^Ο^)/スミマセン。
リーゼントなしを書きたかったわけで。
080708

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