青い春な文!

□嘘つき
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※黒い竜ちゃんがいます。腹黒です、苦手な方は閉じてください!









 「俺、彼女出来たんだ」

 そう俺が言った途端、みるみるうちに目の前にいる河井さんはなんともいえない表情を見せた。なんというか唖然として、それでも笑おうとしている。さっきまでただの会話をしていただけなのに、俺が突然に切り出したのが原因。彼女がいるだなんてもちろんこれは嘘だ。目の前にいる河井さんのことが本当は好き。だから嘘を言ってみた。

「そ、うですか」

「うん、同級生の子」

笑っているようでも河井さんの口元は微かにひきつっている。なぜそんな表情をするのか俺は知っていて、自意識過剰かもしれないけれど河井さんも俺のことが好きなんだと思う。そうじゃなきゃこんなひきつった笑みなんて浮かべない。普通なら「そうなんだ」で済まされることがこんなにもあからさまに河井さんはショックを受けている。俺はそれが見たくて嘘をついたんだ。

「可愛い子なんだ、それに俺のことをとても大切に思ってくれていて。だから俺も大切にしようと思って」

「良かった、ですね」

「うん、今度試合も応援に来てくれるらしいんだ」

「へえ、」

どんどん河井さんの顔色は悪くなっていく。口元も震えていて次の言葉を言えない状態だ。テーブルの上に置かれている河井さんの手はこれほどかとぎゅっと握り拳を作っていた。
俺は想われている、そう嬉しく思ったのと逆に嘘を見破って欲しいのにと残念な、矛盾した気持ちが蠢いた。

(彼女なんて作るわけない、河井さんあなたがいるからだよ、あなたのことが好きなんだ、俺の嘘を見破ってよ。)

願っていても通じることはなく河井さんは突然席を立った。

「用事を思い出したので失礼します」

目を合わせようとしない。背を向けて歩いていこうとする河井さんの腕を咄嗟に掴んだ。肩が大幅に驚きを見せたというのにこっちを見ようとしない。俺は口元を上げ、河井さんに絶望から這い上がれる言葉を言い放った。






「ごめん、全部嘘だよ」

そこで漸く河井さんはこっちに振り向いて、ボロッと溜まっていた涙を落とした。






エイプリルフールでもないのに嘘をついた





(あなたへの想いは真実だよ、だから嫌わないでね?)














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前から書きたかった黒竜ちゃん。白ももちろん好きだよ!
かなり久々すぎる更新…。
081125

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