青い春な文!

□溢れる
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(※R15剣河 お布団の中の話です)













 目を覚ましたのが早朝だった。カーテンの向こうは光が指していて鳥の鳴き声だけ聞こえる。床には散らかした衣服に一人分にしては大きなベッド、そこに河井と剣崎が寝ていたのだが河井の方が先に起きた。河井にとってはすっきりとした目覚めのだが、すぐさま腰に僅かな痛みが走ると形の良い眉毛を歪ませた。そんなことはつゆ知らず横にいる剣崎は寝ている。その姿があまりにも気に食わず、軽く頭を叩いてみた。剣崎は唸るだけで目が覚めない、寝返りをうち何も着ていない背中を向けたので河井は両手で笑う口を聞こえないよう隠した。
すると、両手の爪の先が何本か赤くなっている。なにかこびりついているようだ。よく見れば乾いた血だ。自分の両手から剣崎の背中に注目を流すと、細かい傷がある。試合でつけた傷もたくさんあるが目立ったのは引っ掻き傷だった。まだ新しく傷口も完全に治っていない。交互に見ると河井は理解したのか気恥ずかしくなった。

「(全然気が付かなかった…)」

思い出すのも恥ずかしい。剣崎にしがみついていた自分を想像するだけで頭に血が上りそうになる。唯一思い出してもいいのが剣崎の顔だった。普段はあまり見ない必死な彼は汗を滲ませ、それでも余裕の笑みを浮かべていた。自分に余裕なんてこれっぽちも、嗚呼、恥ずかしい。ほんのりと顔を赤らめた河井は剣崎の背中にぴたりと抱きつく。そのおかげで剣崎はうっすらと意識を覚醒させたが目は開けない。眠くて仕方がないらしい。

「あー…なんだ」

「なんでも」

それから剣崎の返事はなかった。少し顔を背中から離せばあの細い引っ掻き傷。これは紛れもなく自らつけたものだ。この傷を見る度に夜のことを思い出すのだろう。早くこの傷なんて消えてしまえ、そんな願いをこめて河井はぺろりと舐めてみたがほんの少し、少しだけ鉄分の味がした。

「う、あ、…おめぇなにやってんだ」

じわりときた不可解な痛みに剣崎はごろりと河井の方へ寝返りをする。眠たい目でこちらを見てきたが河井は笑った。

「あはは、仕返しです」

なんのだよ、と聞こうと思ったのだが悪戯に笑う河井に少なからず彼のサド心が垣間見えた気がした。それが気に食わず剣崎も仕返しに河井の鎖骨あたりを甘噛みする。

「いたぁ」

「うそつけ」

「あはは」

それから目が合った。これはキスする雰囲気だと直感すれば、やはり剣崎からキスが降ってきた。口内を舐めあったが河井はとうに鉄分の味など忘れてしまった。











こぼすほどに溢れる

















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この二人はまっぱです。いちゃいちゃさせました。
100604

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