青い春な文!

□夢をみさせてくれ
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(10000hit企画小説)









「ヘルガ、包帯を巻いてくれ」

 真っ白の包帯をヒムラーはヘルガに差し出した。ヘルガはというとノートにびっしり字を書いている最中だったが、ペンを置くことにした。包帯を受け取るとヘルガは頷く。顔に包帯を巻いた男はにたりと笑うと、するすると包帯をほどいた。そこにはヘルガしか知らない顔があった。見るや否やヘルガは形の良い眉毛を歪ます。

「ヒムラー、その顔どうにかなりませんか?私は皮膚移植をお勧めしますよ」

「いや、これでいいんだ、これで」

ヒムラーの声はうわごとのようなものだった。小さくヘルガは溜め息をつける。椅子を用意して二人は向かい合わせに座る。丁寧に包帯を巻いてゆく。じっとヘルガをヒムラーは見ているが、見られている本人気がついてはいるが気にしないようにしている。その様子が可笑しいのか、ヒムラーの笑いは止まらない。そして、止めとも言えるような言葉を言った。

「お前しか知らない顔でいたいんだ」

ニッと歯を見せ笑うがヘルガは冷めた目だった。何度言われてきた言葉か。

「そんなことですか」

呆れたヘルガの声が返ってきた。それだというのにヒムラーはニタニタと笑うのだ。

「なんて下らない」

「はははっ!笑えばいい、俺もそう思ってるのだから」

「下らないが笑えませんよ」

真面目にそう言うのでヒムラーはぴたりと笑うのをやめた。同情からの言葉に違いないが、笑うのを止めざる得なかった。包帯を巻かれる間、ヒムラーは大人しかった。

「はい、終わりましたよ」

ぎゅっと包帯を後ろで結ぶと、手が離れた。その手を突然ヒムラーは掴んだのだ。ヘルガは動じない。

「なあ、俺がこの顔を治したら惚れてくれるか?」

ヒムラーは自らの顔に指を差した。顔は包帯で巻かれて表情を伺えないが、熱い目をしている。そのおかげで本気の告白の類だと考える。ヘルガは口元を緩めた。

「ふふっそちらの方が笑えますよ」

純粋にそう言ったヘルガの顔が自棄に綺麗に見えた。フラれたのにヒムラーは愉快そうに笑う。ダンケシェと呟くと、ヒムラーは掴んでいたヘルガの手にキスを落とした。唇は包帯で巻かれいる、間接的なキスだった。










夢をみさせてくれ












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10000hitありがとうございました!
まさかのヒム→ヘル!ヘルガはSっ気があればいいなあ。
101020

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