青い春な文!

□文通相手
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(10000hit企画小説)








 フランス語の手紙が頻繁に来るようになったのは最近だった。書いた人物はナポレオンで、受け取る人物はスコルピオンである。切っ掛けはスコルピオンからだった。ただ最初はドイツチームの野望を受け入れてもらうことだったのだが、敢えなくその話は終わった。それで終わりだと思われたやり取りだったが、フランスから手紙が来たのだ。内容は世界大会の話、敵チーム、ボクシングのことだった。他愛もない内容の手紙なのだが、可笑しな話、読みごたえがあるのだ。さっそくスコルピオンはペンを持って手紙を返した所、また数日して手紙が帰ってきた。その手紙にはボクシング以外のことも書いていた。五人兄弟だとか、上手い料理の話だとか美術館の話だとか。スコルピオンは手紙が楽しみのひとつになっていた。
半年続けた所ぱたりと手紙が来なくなった。あきてしまったのだろうとスコルピオンは残念に思った。なぜ手紙が来なくなったのか気になったがスコルピオンは催促の手紙はしなかった。
引き出しに閉まってあった手紙の束を取り出して読み出すと懐かしさがあった。夢中だったとスコルピオンは小さく微笑む。相手を知れば知るほど、自分のことを伝えれば伝えるほど理解しあえていたと思っていた。しかし、向こうはそうではなかったらしい。スコルピオンは手紙をまた引き出しに閉まった。
デスクで頬杖をしてスコルピオンは考える。手紙が欲しいのではない、顔が見えない相手と会いたいのだ。閃いたかのようにスコルピオンは新しい手紙にペンを走らせようとした。しかし、インクが空っぽになっていた。スコルピオンは真っ黒のコートを羽織ると外に出た。
石段で出来た白い階段を降りて、スコルピオンは街を歩く。外は夕方で肌寒かった。すると足は止まる。彼の目の前にはなんと白いコートを着たナポレオンが立っていたのだ。スコルピオンはただただ驚くしかなかった。

「ふふっ驚きましたか?」

「あ、ああ…」

ナポレオンは笑みを浮かべているが、スコルピオンは驚きすぎて声が震えていた。

「そんなお化けでも見たような顔をしないでくださいよ」

「なぜ君が…?」

「あなたに会いたくなったからですよ」

「アポなしで?」

「えぇ、驚ろかせようと」

なかなかのサプライズだ。驚いていたスコルピオンだが今度は笑い出した。

「ハハハッ」

思いもよらぬかったが素直に嬉しいとスコルピオンは感じたのだ。まさかだった、予想外だった。手紙が来なくなった理由はこれにあったのかとスコルピオンは理解する。
スコルピオンの腕にナポレオンは手を置いて二人は歩き出した。ただ道はスコルピオンが来た道を行く。

「こちらに用だったのでは?」

ナポレオンは疑問に思い自分が来た道を指した。しかし、歩きを止めることはない。

「ああ、インクを買いに行こうと思っていたのだが…」

ふとスコルピオンは立ち止まる。それからナポレオンに顔を向けて微笑んだ。

「君に会いに行くと書く予定の手紙があったが、その手紙を書く必要がなくなったからね」












文通相手
















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10000hitありがとうございました!
スコナポはアニメ版の会話がたまらなく好きです、黒と白のコートが素晴らしい。
101118

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