黒猫小屋
□ぶらざーそうる
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その日、出会って一日目のキャンプ。
手近な岩場と穴を使って、冷え込む砂漠の夜気が入らないようにテントを組む。
そう、砂漠は昼間の暑さなんか微塵も感じさせなくなる程冷え込んでしまうから。
交代で不寝番にたったアイツは、毛布にくるまったまま小さく震えていた。
焚き火の小さな炎に顔を赤く染めて、くしゃみをする音が耳に入った。
[ぶらざーそうる]
「よぉ、寒そうだな」
「あぁ…ってアンタの方が寒そうだよ!!!?」
目が覚めて、不寝番のその男のに近づいていくと、彼は自分の格好を見てから即座に手刀で突っ込みを入れる。
男はズボンは履いているものの、上半身裸にカウボーイハットといういでだち。
昼間ならまだしも、この冷え込んだ砂漠にはあまりにも場違いな格好だが、彼──エースはあっけらかんと笑って見せた。
「俺は"炎"だからな…ぅ、へっぶしっ…!!」
「寒いんじゃねぇかよ!?」
「あっはっは!!」
またも反応の良い突っ込みに彼は上機嫌に笑い声をあげる。