野良猫解放区
□酒と宇宙人
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「はい、水です」
「ん、あぁ。」
コトリと置かれたグラスに注がれている透明な液体。
ピッコロはそれに何の躊躇いもなく手を伸ばしゆっくりと口に運ぶ。
だが含んだ途端広がる妙な味覚と脳を揺らす熱。
思わずそれを吹き出して、強く彼女を睨みつけた。
「な、なんだこれはっ…!」
「だから、命の"水"。ウォッカ。」
悪びれた様子もなく淡々とそう言った彼女に、彼は眉をひそめその名を繰り返す。
「何だそれはっ…く、妙な感覚が…」
「お酒ですよ。でも、薄めたんだけどなぁ…。弱いんですか、お酒」
「酒なんぞ、飲んだこともない!」
それでかと、彼女は手を叩き"出来心だった"と軽く謝る。またも悪びれていないその顔が、彼には揺れて見えた。
「…不味くてかなわん…口直しだ」
「え。…ぅんっ」
赤く染まった緑の顔が、一瞬で唇を捕らえる。素早く差し込まれた舌が、彼女を絡めとり有無を言わさず唾液を混ぜた。
「酒くさ…」
「貴様の仕業だろ。…責任はとれ」
「この、酔っぱらい…」
慣れぬ酒は悪酔いをさせる。
覆い被さるその熱い身に、一晩しっかり思い知らされた