野良猫解放区
□ダークスーツと散弾銃
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噂で聞いたその女は
噂よりもぐっと"いい女"だった
滑らかな亜麻色の髪を靡かせ
地上に降り立つ様は"戦女神"
構えた散弾銃は神の槍か
向かうもの敵なしと、辺りを一掃していく
「流石、タークスは一般兵とは格が違いますね」
「当たり前よ。そうでないと貴方を守れないじゃない」
「あはは…そうですね」
フェミニストな彼にすれば自分が彼女を守るべきなのだろうが、敵に囲まれたこの状況がそうさせない
小型の銃を両手で構え、的を狙うのが精一杯
「貴方を守るのが私の任務なんだもの。しっかり守られてくれないと困るわ」
合わせた背中越しにそう言われ、リーブは苦笑しながら敵の肩を打ち抜く
「でしたらしっかり本部まで送り届けてください。…貴方を食事に誘えなくなりますから」
「あら、うふふ。じゃあ、無傷で送り届けないといけないわね」
吼えるような機関銃の叫びに続いて、柔らかな香りと笑い声が響いた
戦場であるというのに、場違いなほどの美しさは一瞬の華やかさを生み出す
まだ終わりの見えない戦いに、男は矛盾した喜びを感じていた
それが恋かただの迷いか
知るのはそう、戦女神