黒猫小屋

□イヴへの手紙
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事を悟られ、ウソップは顔を真っ赤にさせてゾロの手からその紙切れを奪うと、クシャクシャとそれを丸めてゴミ箱へと投げ入れる。
そこにはその紙屑と同じように丸められ捨てられている紙切れがいくつも、転がっていた。

何度も書いて、何度も躊躇ってこの小さな山が出来たのだろう。
ゾロはチラとウソップと紙屑の山を交互に見ると、バンとその背を強く叩いた。




「おら!飯だ!…アホコックが飯片付けちまう前に行くぞ!」

「えぉっ!お、おぅっ…」




手紙について何も聞かないゾロに、ウソップは少しばかり困惑した目を向ける。
だが、彼が興味を持っていないのだろうと解釈をすると、大人しくその後を付いていった。


二人が食堂に戻ると、待っていたのは少しばかり冷めた食事にお冠のコックさん。

罰として食器洗い当番一週間を言い渡され――そこでゾロが不服を申し出て言い争いになったが、ウソップが身を挺して止めた――どうにか温め直された食事にありつける事が出来た。

食べている間、ウソップの他愛ない嘘話が食事を盛り上げ、普段と変わりない時間が流れた。
食事が終わってもその話は続く。






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