頂き物
□“唯一の…”
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「…以上。
彼の地は今の所こちらに戦を仕掛ける事はないと思われます。」
「うむ。長期任務ご苦労であった。
甚八よ、しばし体を休めるがよい。」
「御意。」
よし…
信玄公への報告も終了。
帰るか。
「甚八。」
…なんだ?
まだなんか用事があんのか??
帰ろうとした所を信玄に呼び止められ甚八は訝しい気な顔をする。
勿論、彼は忍。
表情を崩したのは
ほんの一瞬。
「なにか?」
「なぁに、幸村が淋しがっておった。寄り道せず帰ってやれ。」
“言うまでもないとは思うがの”と言って笑う信玄を見て
甚八もニッと笑う。
「御意。」
言葉と共に甚八は姿を消していた。
「ほんにアヤツは皆に愛されておる」
甚八が消えた後
満足そうに笑う信玄の姿があった。
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