頂き物

□自称兄と通称オカンの奮闘記
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「はいはい、っと」



聞き慣れた声にルークはばっと顔を上げる

どさ、と後ろから聞こえた音に振り返ると、ティアが椅子から崩れ落ちて気絶していた
次に横から同じような音が聞こえそちらを向くと、扉の前で待機していた兵が倒れていた

訳も分からず前へ向きなおると、アニスとイオンが倒れる瞬間だった
そして目の前のジェイドがすぐに槍を構えると


キィンッ!!


「あれ、あんたは結構できるんだねぇ〜」
「ッ貴方は」
「うちの坊ちゃん、返してもらうよ」


とっさに振り返ったジェイドの槍と手裏剣が交差する
佐助は槍の上で手裏剣を滑らしたかと思うと、瞬時にジェイドの横を抜けた

ルークを抱き、一足飛びで侵入したらしい窓の前に立つ


「ごめんね坊ちゃん、遅くなっちゃって」
「え、あ…うん?」


わずかな時間での怒涛の展開についていけず、ルークは訳が分からない顔をして頷いた
混乱したその頭をぽんぽんと叩き、佐助は視線を落とす

そして両手を固定する枷が目に入り、ぎょっと目を見開いた


「ちょっ、何でこんなもん付けられてんの!?あーもう、痛いとこない?」


持っていた手裏剣を一閃
つけられた手錠は慌てて切断されたにも関わらずルークの肌を傷つけることなく綺麗に外れた

床に落ちる音と共に佐助がその腰を抱く

ルークを片手で抱きあげながら狭い窓へと手をかけ、窓枠に飛び乗る
バサッと音を立てて近寄ってきた鴉へと手を伸ばそうとして


「待ちなさい」


後ろから聞こえた声に振り返る


「貴方は何者です」
「敵に教えるわけないでショ?俺様は坊ちゃん引き取りに来ただけだから、そんじゃ」
「逃がすとお思いですか?」


ジェイドの槍が窓へと突き立てられる
佐助はさっさと脱出しようとするが、咄嗟に舌打ちしながら横へと避けた

槍と共に、窓へと放たれた譜術が部屋をびりびりと揺らした


「あんた…今ルークごと狙った?」


佐助の表情から笑みが消える
ぴりぴりとした雰囲気に、とっさにルークが目の前にある服を掴んだ


「サスケ…?」
「ん、どうしたの?」
「あ、いや…何でもねえ、けど」


あまりにもいつものものと変わらない笑顔
そんな笑顔で見下ろされ、ルークは拍子抜けしてふるふると首を振る

佐助はルークの頭をぽんぽんと叩き、そしてジェイドへと向きなおった


「(坊ちゃんにお仕事用の顔見せるわけにはいかないからね〜)」


ジェイドを見る表情にもう笑みはない
浮かべているのは笑みだが、そこにルークに向けたような親しさは全くない


「で、何の用?」


手に持った手裏剣でとんとんと肩を叩きながら、佐助は軽く首を傾げて見せた


「用も何も、不法侵入者を黙って見逃すとお思いですか?」
「ま、それもそうだねぇ。でもこっちも任務で動いてるんで」
「任務?」



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