02/09の日記

13:26
チョコキス新刊サンプル
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【チョコレート+キス=?】




●ぱっつちサンプル

冒頭

 チョコレート=キス。
 そんな図式が俺の中で成立してしまったのは、ぜんぶぜんぶ、先生の所為だ。





 銀八とするキスはいつもチョコレートの味がする。
 それはちゃんと味覚として感じられるものであって、キスに夢見る乙女のような比喩ではない。
 ファーストキスはレモン味などというけれど、実際にしてみれば味なんてしないし、したとしてもキスをする直前に食べていた物の味がするという程度だ。夢が無いと言われようとも、それが現実だ。
 ――――現実の、筈だった。
 銀八と初めてキスをしたのは、この高校に入学して二度目の春を迎えた頃だ。
 剣道部に所属している土方と、副顧問の銀八とは何かと接する機会が多かった。その所為かは分からないけれど、怠惰で人をくったような顔で揶揄ってくる銀八に、いつの間にか惹かれていて。驚いたことに銀八も土方と同じ気持ちだと知った時は、頭が真っ白になったのを今でも鮮明に覚えている。
 初めのうちの数回は、特に何の味もしない、けれど土方にとってはついていくだけで精一杯のキスをされた。それがいつからか、必ずチョコレートの味がするようになった。
 キスがチョコレートの味だなんてロマンチック、などと高校生男子の土方が思う筈もなく、単純にキスをする前にチョコを食べているのだ銀八が。
 鍵を閉め、カーテンを閉めた密室状態の国語化準備室でこっそりキスをする時も、銀八の家を訪ねて、自然とキスをする流れになった時も、銀八は必ず一口サイズの小さなチョコレートを常備していて、口吻ける前に自分の口へ放り込む。
 チョコレートは銀八の舌の上で蕩け、深い口吻けを交わすと、甘ったるい味が土方の口内にも広がるのだ。甘い物があまり得意ではない土方は、最初は嫌がって抵抗していたのだが、どんなに言っても聞かない銀八に、今は諦めてこの甘ったるいキスを受け入れている。
 そうして今では、銀八とするキスはチョコレート味、という刷り込みが土方の中で出来上がってしまった。
 それだけなら、なんだか恥ずかしいな、くらいで済むのだが、ここで問題が一つ浮上する。
 季節はもうすぐバレンタイン。
 クラスの女子は勿論、男子もそわそわしていて浮かれた空気だ。デパートやコンビニには特設コーナーが設けられ、煌びやかな包装紙に包まれたチョコレートが嫌でも目に入る。
 それは毎年のことで、見慣れた光景の筈なのに、土方は今年に限ってその華やかなコーナーを直視出来ないでいた。
 原因は分かりきっている。
 チョコレートを見ると、銀八とのキスを思い出してしまうのだ。



一部抜粋

「んぁっ、ンッ」
 爪で根本から先端まで線を引くようにされ、濡れて下着の色を変えだした鈴口の部分を引っ掻かれた。下着のシミは更に広がり、土方自身に張り付いて気持ち悪い。
 学校だから仕方ないのかもしれないが、中途半端に脱がされた制服が火照った身体には邪魔に思えて仕方なかった。
「せんせ、も、やだ……」
 そんな下着越しの間接的な刺激では、情欲に火の点いた若い身体には物足りない。もっと、とねだるように銀八の手に腰を揺らして陰部を擦り寄せれば、ほどなく土方の願いは叶った。
 ボクサーパンツを引き下ろされ、弾かれるように勃起した性器が飛び出してくる。ズボンと下着を太股の半ばまで脱がされた。既にいやらしく濡れている性器を握り込まれ、ひくんと期待に腰が揺れた。
「土方くんのココ、熱いね」
「んんっ、ふ……ぁっ」
「チョコも溶けちゃいそうじゃない?」
「……え?」
 くりゅくりゅと先端を撫でていた手が不意に離れ、不思議に思って銀八を見ると、また何か企んでいるような顔がそこにあって。イヤな予感に身体を引きかけるが、それより早く銀八が行動を起こしていた。
 銀八の手には、土方が貰ったのとは違う、極普通のチロルチョコが握られている。包み紙を開き、チョコに軽くキスをして、土方の唇にも押しつけられた。そのまま食べさせられるのかと思いきや、チョコはすぐに唇を離れた。
「せんせい……あっ、え? んぁっ!」
 チョコレートの尖っている角を先端の割れ目に押し当てられ、小刻みに動かされる。指とは違う硬いモノに敏感な部分をなぶられて、快感に弱いソコは新たな蜜をこぷりと零した。
「や、あっ、ア……せんせ、やだ、それ、や……っああ!」
「チョコが溶けてきた。土方が漏らしたのと混ざってやらしいな……」
 銀八の言う通り、最初は尖っていたチョコの角が、土方の熱で溶けて丸みを帯びてくる。溶けたチョコは先走りの蜜と混ざり、幹を伝い落ちて卑猥な様相を呈していた。




●金土サンプル

一部抜粋

やたら派手な包み紙から取り出されたのはビターチョコ。
 台形のそれは特にこれといった特徴も無い。
 けれど、土方はそのチョコレートの恐ろしさを身をもって知っている。というか、実地で思い知らされていた。
 二度と食べたくないと思っていたソレを、金時は唇に挟むとキスを迫って来た。嫌がって顔を背けたが、顎を掴んで引き戻される。痛みに唇を薄く開いてしまった隙を逃さず、チョコレートごと口吻けられた。
「んっ、ぅン……ッ」
 金時の舌とともにチョコレートが土方の口内に滑り込み、二人の体温でとろりと溶ける。
 甘い物が大好きな金時が、普段好むはずもないビターチョコはほろ苦く。チョコレートでコーティングされていた中身が徐々に溢れ出した。ビターチョコの苦さとは反対に、溶けだした液体は酷く甘い。
 それを何とか呑み込むまいとするのだが、口吻けられたままではそんな事が出来る筈もなく、流れ込む金時の唾液と一緒に嚥下してしまった。
「んく、ん……は、ぁ……くそっ」
「ちゃんと全部食べたね。偉いね土方」
「うるせェ!」
 まるで子供にするように頭を撫でられて、土方は吠える。
 確かに今回は受け持った事件の解決が長引いて、いつもより金時と会えない時間が長かった。メールも電話もほぼ無視したし、金時が家に押し掛けて来た時もタイミング悪く仮眠に入る寸前で、素気無く追い返したりもした。
 悪かったと思う。思うが、やっと取れた休みを睡眠よりも優先して金時に会う為に使ったというのに、この仕打ちはあんまりじゃないだろうか。
 腕を縛られていては、碌に金時に触れやしない。会えなかった時間は二人とも一緒なのだ。せっかく会えたのだから、土方だって金時に触れたい。これでは不公平だ。そんな甘ったるい不満を訴えたくとも、土方には出来そうになかったが。
 ムスッとしていると、不意に金時が土方から離れた。このままめちゃくちゃにされるのだろうと思っていただけに、その動きを不審に思って目をやれば、金時はさらりと土方の額を撫でる。
「金さん、ちょっとココア淹れてくるから待ってて?」
「は?」
「大人しくしててね。すぐ戻るから」
「は、ちょ、待て……わぷっ!」
 本当に寝室を出て行こうとする金時を慌てて呼び止めるも、まるで聞いていないかのようにスルーされてしまう。咄嗟に追いかけようと腰を浮かせ膝立ちになるが、柔らかすぎるベッドと縛られている腕の所為でバランスが崩れ、土方は俯せに倒れ込んだ。
「くっそ、アイツ……仕返しかよ」
 ここまで来て放置だなんて。散々金時を放ったらかしにしていた自分へのあてつけだとしか思えない。
 腹は立つが、そこまで怒らせたのも自分な訳で。不可抗力とはいえ、今回は流石にちょっと酷かったと思うだけに、強く出られない。無駄に大きいベッドに寝そべり、土方は身体の力を抜いた。腕を縛られたまま落ち着く体勢を探そうと身動ぎした時、ざわっと下肢に痺れが走る。
 キた。
「……ン、もうかよ」
 身体の変化を意識すると同時に、体温が上昇して脈拍が速くなった。神経が過敏になり、着たままの服やシーツに皮膚が擦れるだけで怪しい感覚が沸き起こる。
「は、ぁ……」
 土方は無理やり食べさせられたビターチョコの正体を知っていた。以前にも同じものを食べさせられたのだから、当然といえば当然である。
 一見普通のビターチョコの中に隠された液体は、媚薬と呼ばれるものだ。非合法スレスレだと金時は言っていたが、実際はどうだか知らない。分かっているのは、効き目は確かで、しかも強力であるという事だけだ。
「は、はっ、んん……ふ、は……」
 呼吸が荒くなる。休日だから、着ているのはスーツではなくワイシャツにスラックスという格好だ。そのワイシャツの下で、触られてもいないのに乳首が尖り出す。スラックスと下着に押し込められている性器も徐々に形を変え出した。
 勝手に上がっていく熱を逃がしたくて、ベッドの上でもぞもぞと動くがそれは逆効果で。動けば動くほど皮膚は敏感に快感を拾い上げていく。
「あ、ぁ、く……ンン、ぅ……ァ、あっ」
 最初は熱を逃がしたくて身動ぎしていた筈なのに、ベッドと服との摩擦で得られる快感に、目的は簡単に摩り替わった。両手が使えない苛立ちをぶつけるように胸と性器をシーツに擦りつけていると、寝室の扉が開いて、ハッと我に返る。
「あーあ、先に始めちゃって。ココア淹れる時間も待てなかったんだ?」
「……っお、前が薬なんざ使うから、だろーがっ」
「確かに使ったけどさー。ちょっと効き過ぎじゃない? 元が敏感だからかなぁ」
「ひあっ」
 ベッドに腰掛けた金時に尻を鷲掴みにされ、土方は高く喘いだ。

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