捧げ物
□初めての…
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『明日…。お前ん家に泊まってもいいか?』
土方と付き合い始めて一カ月。
土方の仕事の都合でこの一カ月、二人で会った回数は片手で事足りる。
肌や唇を触れあわせた数なんてもっと少ない。
セックスなぞ夢のまた夢だ。
なのに昨日は土方自らお泊まりのおねだり。
そらもう、一も二もなく頷きましたさ。
新八と神楽と定春を志村家へ適当に追いやり、部屋を片して準備万端。
後は、今日の夜から明日の夜にかけて非番の土方を待つばかり。
期待して良いんだよね土方…?
逸る心を抑え切れず、銀時が部屋の中で8の字ダンスのように同じ所をうろうろしているとインターホンが鳴った。
「来たッ…」
きっと銀時に尻尾があったら、滅茶苦茶に振っているだろう。
それくらい嬉しい。
からりと戸を開けると、そこには期待通りの人物が立っていた。
「いらっしゃい、土方」
「おう、邪魔するぞ…」
暗くて土方の表情は読み取れないが、土方もどことなく落ち着きが無いようだ。
土方を居間へ通し、ソファーに並んで座る。
何度か来ていて珍しいものは無いだろうに、土方はきょろきょろと視線をさまよわせている。
「どした?」
「いや…、ガキ共はいねェのか?」
「ああ、ちび共はお妙んトコ」
だから今日は二人っきりだよ、と暗に示唆する。
「そう、か…」
カァ…と土方の頬が淡く染まる。
この反応は期待してイイよね!?初エッチ期待してイイんだよね!?
「土方…」
「なに……んぅ」
名前を呼んで俯いた顔を上げると、土方の唇を銀時が塞いだ。
「ん…は……ぁ、銀」
舌を絡めて吸い上げると土方から甘い吐息が漏れる。
土方の気がノらない時にこの手の事を仕掛けると、まず間違いなく殴られるのでこれは了承と取っていいだろう。
「ふ…ぁ、んんっテメ…しつこい」
散々土方の口内を舐め尽くして、唾液が口端から滴り落ちるほど口付けてからやっと唇を離すと土方は涙目になっていた。
「これくらいで根ェ上げてたら保たないよ?」
「え…」
「シてもイイよね…?」
抱き寄せて土方の耳元で囁けば、頷くだけの可愛らしい返事が返ってきた。
返事をした途端、ソファーでコトに及ぼうとした銀時に、頭突きをかまして土方は寝室へ逃げ込む。
別にするのが嫌だった訳ではない。
ただ、場所が気に食わなかっただけだ。