捧げ物

□甘い痕
1ページ/9ページ

「ひ、じ、か、た〜ァ!!」

べしっ

「あぎゃっ」

ぐしゃっ

いつものように土方の顔面を一路目指し滑空したコウモリ銀時は、情け容赦なく床に叩き落とされた。
それはもう、虫か何かの如く。

「ちょ、土方、何すんのさッ!?」
「毎回毎回人の顔に張り付こうとすんじゃねェッ!!」

床で潰れてキーキー騒いでいるコウモリ銀時を、土方は冷たくあしらった。
コウモリ銀時に弱い土方にしては珍しい。

「何でそんな冷たいの!?ちょっとしたスキンシップじゃん!!」
「テメェはスキンシップだけじゃ済まねだろーが!!」
「アレ?バレてたの?」
「毎度同じことされりゃ嫌でも気づくわッ!!」

出会い頭にコウモリ銀時が土方の顔面に張り付こうとするのは、最早恒例行事というか習慣である。
最初のうちはコウモリ銀時に甘い土方は、顔面に張り付くのを許していた。
むしろふわふわの腹が気持ち良かったりしたのだが、最近銀時が要らんことをし始めた。
顔面に張り付くまでは一緒だが、張り付いたあとすぐ人型に戻ってキスを仕掛けてくるのだ。
これは頂けない。
それがパターン化してきたので、土方は今日反撃に出た。

「チッ」
「舌打ちすんなッ!!」
「てかさー、オメーこれ何回目よ?気づくの遅くね?」
「う、うるせェッ!!」

実はこれ今日で七回目である。
毎日来いと銀時にせがまれて通い始めたのが、七日前。
その間にほぼ毎回されて気づいたのが今日では、鈍いと言われても文句は言えないだろう。
分が悪くなってきたので、土方は無理やり話を逸らしてみた。

「それより銀時、首筋から血ィ吸うのやめろ」
「いきなりなんで!?」

唐突な話題転換とその内容に、銀時は叫ぶ。

「首まで隠れる服なんざあんま持ってねェんだよッ!!」

銀時は血を吸う時、心臓にほど近い首筋に牙を立てることが多い。
その痕はキスマークのように紅く残る為、度々揶揄われていた。
特にドS皇子に。

「別に隠さなくてもいいじゃん」
「良いわけあるかッ!!んなこと言ってっと吸わせねェぞテメェ」
「えええッ!?、首からの血は二番目にオイシーのに……」

しょんぼりとうなだれる銀時。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ