小説

□無二
1ページ/7ページ

夜が深まり、月も昇りきった頃、ドレイコのもとにふらりとボーエンがやってきた。

こんな時間にどうしたのだと問うと、彼は口元に人差し指を当て、声を潜めて「少し付き合え」と悪戯っぽく言う。

そして、誘われるがまま、辿り着いたのは民衆たちの住まいからは多少離れたところにある、小さな丘の上だった。

空を遮るものが無く、星が視界いっぱいに広がる。

ドレイコと同じ名前を持つ星座も、あの日以上に輝いて見えた。

良い場所だろう、誰にも言うなよ、とどこか自慢げなボーエンと顔を見合わせ、まるで秘密基地を見つけた子供のように笑った。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ