小説
□無二
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夜が深まり、月も昇りきった頃、ドレイコのもとにふらりとボーエンがやってきた。
こんな時間にどうしたのだと問うと、彼は口元に人差し指を当て、声を潜めて「少し付き合え」と悪戯っぽく言う。
そして、誘われるがまま、辿り着いたのは民衆たちの住まいからは多少離れたところにある、小さな丘の上だった。
空を遮るものが無く、星が視界いっぱいに広がる。
ドレイコと同じ名前を持つ星座も、あの日以上に輝いて見えた。
良い場所だろう、誰にも言うなよ、とどこか自慢げなボーエンと顔を見合わせ、まるで秘密基地を見つけた子供のように笑った。