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お礼と言うにはおこがましい the 独りよがり小噺 inノース サンジ子供時代捏造編です。
戦争等の表現がちょびっとありますので苦手な方申し訳ありませんがバックオーライですので宜しくお願いします。


■■■過ぎし日■■■



ノースの冬は長くて深い。

短い春と夏が行き過ぎると名ばかりの秋が顔を出し冬の訪いを告げる。
深々と降り始めた雪はやむ事を知らぬよう幾日も降り続け、やがて全てを一面の灰銀に染めてしまう。
寒さを堪える為着込む服は首から下、時には顔を半分ほどから足先まで全て覆い、道行く人は皆一様に俯き加減で足早に家路を目指す。
それでも帰れる場所のある者は良い。
戦火で家を焼かれ家族を失った者は道に座り込みただただ呆然と、狂った様に舞う雪が落ちるのを視界に入れるのみだ。
明日への希望などどこにも無い。
誰もが笑顔を凍らせた…そんなノースの夏と秋が過ぎ去った。
だが、人々に昔の様な笑顔は戻らない。





古めかしい大きなその建物の裏手に少年はいた。
落ちてくる白い欠片を食べようとしているのか天に向かって口を大きく開けている。
目深にかぶった帽子から金の髪が零れ水滴に変わった雪によりしっとりと重みを帯びるが少年はそれに構わず目を閉じたままじっとしていた。
雪が足元を覆い、そろそろ少年の踝までを埋めようかというところで声が掛かった。

「サンジ、そんなところにいたのですか」

静かな声は雪の降る裏庭に良く響いた。

「シスター、ミサは終わったの?」

不思議そうに問いかける少年に黒衣の女性はゆっくりと近づいた。

「いいえ、貴方を探していたんですよ。風邪を引きます。中に入りましょう」

冷えた体を一瞬抱きしめられて少年は目を細めた。
促されるまま建物に入り暖炉の前に座る。

「いつから外に?」

「えっと、ミサが始まってすぐだと思う」

邪気のない顔にシスターは小さくため息をつく。

「さぁ、上着を脱いで。これに着替えましょう」

「…これ、サンジの服じゃないよ?」

渡された服を見て、上目遣いに問いかける視線をシスターは悲しそうな微笑で見下ろした。

「これでお友達を見送りましょうね」

着せられたのは上下とも真っ黒の、カラスの様な服だった。



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