*最遊記*
□八百鼡
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とある町に着いた三蔵一行。
「おい、何処か酒の飲める店を探してこい」
「昼間から酒盛りか?」
三蔵の言葉に柚依は少し眉をひそめながらも、近くにいた女性に声をかけた。
「すまないが、このあたりに酒場はないか?」
「え…?」
面倒くさそうな表情で振り向いた女性は柚依を見た途端に顔を赤らめた。
「あ、あちらに町で唯一の酒場があります!」
「そうか、助かった」
「あ、あの…良かったらこの後お茶でも…」
「すまない、短気な仲間が待ってるんだ。失礼する」
「えっ…ちょっとぉ!!」
引き止めようとする女性から別れ、三蔵たちのいる所まで戻ると、悟浄は柚依の肩に腕を乗せた。
「女泣かせだねェ」
「なら、私が彼女とお茶に行ってもよかったのか?」
柚依は悟浄を軽くあしらうと、女性に教えてもらった酒場まで三蔵たちを案内した。
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「おーい、ねーちゃん!ネギマ一皿追加ね!」
酒場独特の騒がしさがある店内では、ウェイトレスが1人で忙しそうに注文を取っていた。三蔵たちは案内される前に空いている席に座り、テーブルにあったメニューを開いた。
「俺モツ焼きがいい!」
「野菜を食え、野菜を」
「ビール2本な」
「じゃあ、コレとコレと…」
「きゃっ」
三蔵たちの少し離れた所でウェイトレスが酔っ払いにセクハラを受けていた。その様子を見た柚依はまるでエモノを狙うように目を鋭くさせ、自身の腰にある刀に手を添えた。
「女の敵だな」
「女の扱いに慣れていねーンだよっと」
悟浄がテーブルに備えつけの灰皿をフリスビーを投げる要領で投げると、灰皿は見事酔っ払いの頭に当たった。
「ナイスだ、悟浄」
柚依は頭をさすりながら犯人を探す酔っ払いに嘲笑を送り、刀から手を離した。
「柚依は何が食べたいですか?」
「そうだな…」
腹の虫が収まった柚依はタイミングよく八戒が見せてきたメニューを覗き込んでいた。