アズカバンの囚人

□シャンプーと侵入者
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じめじめとした地下牢を思い起こすような薄暗い部屋で俺は拳を高く上げて、高々と吼えた。



「ツカサ君だいふっかぁああつ!!」



医務室のポンフリーさんに肩から胴体にかけて包帯でぐるぐる巻きにされたけど、今日から授業に出れるぜ!早く出ないとハグリッドとバックビークの印象がどんどん悪くなるし、みんなに迷惑掛けられないからな!



「マダム.ポンフリーの許可は下りたのかね?」

「もちろん!口説き落とした!」



セブルスの片方の眉毛だけぴくんと上につり上がったけど、俺がセブルスの薬を一気飲みしたら何も文句言わなかった。



「例の魔法生物学の一件で裁判をすることになった。ツカサも出廷することになるであろうな」

「さ、裁判…ッ?!マグルの裁判にも出たことないのに、いきなり魔法界のかよ…」



ぐうぉおおお…と悶えていたら、セブルスが紅茶を淹れてくれた。入院中は飲めなかったから、一段と美味しく感じた。



「ドラコはまだ傷が痛むから医務室にいるって」

「…おおかた、痛がったふりをして英雄視されたいだけだろうがな」

「うーん…かもな。授業に遅れるから早く出てくればいいのに…ま、昔の俺だったら同じことしてるだろうから強くは言えないな」



セブルスとホルマリン漬けを横目に紅茶を楽しんだ。ひとしきり楽しんだ後はセブルスが杖を一振りして紅茶セットを片付けた。



「ツカサ、次の授業の準備をするぞ」

「らじゃー!任せとけ!」



その後の準備は四年生のグリフィンドールとスリザリンの合同授業の為に、材料の入った重い瓶をたくさん運んだ。授業が始まってからも、そういった指示は続いて、フレッドとジョージに心配された。



「…ツカサ、大丈夫?」

「退院してすぐのツカサにこんな重たい物をわざと運ばせるなんて…スネイプの奴め」

「大丈夫だよ。てか、これは俺とセブ…スネイプ先生の戦いだから!」

「「…………戦い?」」

「俺が根を上げたら、まだ仕事に支障が出るぐらい傷が治ってないって言われて、医務室にブチ込まれる」



「そんなの御免だ!」と乾燥させた薬草の入った瓶を勢い良く持ち上げた。その時にセブルスと目があった。俺は勝ち気にニヤリと笑って、まだまだ余裕な風にアピールしてみた。セブルスは眉間にしわを寄せて不機嫌そうに鼻を鳴らした。



「「…あのスネイプが過保護だ」」

「なー?俺、もう十分治ったのに」

「私語を慎みたまえ。グリフィンドール五点減点」



セブルスの鶴の一声で、俺とフレッドとジョージの会話はあっさり強制終了されてしまった。俺の後ろで小さな声で悪態をついていたのは聞き逃しておこう…
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