賢者の石
□魔法薬学
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授業が始まってから、一週間。俺はマグルの日本のバイクの運転免許証を携帯するようになった。廊下を歩いていると、生徒たちにジロジロ見られてくるし、ささやき声も聞こえる。そればかりか、面と向かって性別と年齢を確認されることかしばしばあった。
「本当に男なんですか?」
「…その質問はこれで何度目だ?Mis.グレンジャー。お前には何度も免許証を見せただろ」
中でも、何回も聞いてくる強者──グレンジャーには疲れてきている。
「ジャパンの男性はみんな女性のようなんですか?」
「違う」
「じゃあ、あなただけ?」
「…そろそろ本気で怒るぞ?」
初めはふわふわ髪の賢そうな女の子だと思っていたのに、蓋を開けたら好奇心旺盛過ぎて粘り強い奴だった。
「ごめんなさい!ジャパンの人と会うのは初めてだから、色々知りたいんです」
でも、こうして素直に謝ってくるから、邪険に扱えないのも事実で…
「…次から気を付けてくれ」
羊皮紙に何かをかき込む彼女に別れを告げて、俺は次の教室まで歩いた。次は初めてのセブルスの授業だ。地下牢みたいな教室に向かう手前でセブルスとバッタリ会った。
「性別と年齢が疑われているそうじゃないか」
「おかげで、免許証を携帯するはめになった…そんなに女の子っぽいか?」
「自覚しているであろう?」
「まぁ…昔はそれで援交と見せかけた親父狩りとかしていたしな」
「なんだね?それは?」
「俺が女装して、そのへんの親父に三万でヤらせるって話をふっけて、乗ってきたおやじを仲間のまつホテルに連れてって脅して有り金すべてゲット…良い子は真似しないでね!ってやつだ」
セブルスの目から「お前はそんなことをしていたのか…」なんていう心の声が聞こえた気がした。
「Mr.カミヤマ、我輩の授業の邪魔だけはせんように」
「頑張りまーす」
俺はわざとゆるい笑顔で、敬礼をして見せた。