土榎r-novel

□daybreak.
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隣の土方が寝返り、榎本はフと眼が覚める。
夜明けにはまだ早い。
身動いた土方が榎本を覆うよう上に重なってきた

「起きたか?」

榎本の寝乱れた前髪を指先で避けながら土方は、軽く笑って見下ろしている

「寝れない…?」

「寝たくねぇンだ」

土方は榎本の頚に顔を埋め、そこを悪戯に唇でなぞる。
その擽ったさに榎本は首筋を反らしつつ、土方の髪にサラッ…と指を通した

「少しでも寝ないと、体に障るよ」

明日、いや、あと数刻もした未明には、
土方は二股口へ向かう。
激戦になるのは必至だ。
だから、土方の事だ、
感興に気が高揚しているのだろう

「つれねぇ事ァ言わねぇで付き合え」

一度顔を上げて屈託無い笑顔を見せ付け、土方は頬を唇で撫でた。
榎本は仕方無いと一つ漏らしたが、苦笑に緩んだ口許を土方の頬に宛がえ口付けを返す。
スルッとシーツの上を滑らせながら互いの手足を絡め合わせ、同じ体温を共有する。
舌を深く貪り。放して土方はまた、その唇で頬や額、目尻など満遍なく這う。
ただ、そのモノの形や匂いや暖かさを確かめるように、じゃれ合うだけだ。

榎本が土方の耳朶を甘く咬み、顔の輪郭に添って顎から頸へ擦り寄った時、
土方が抗議して頭を離した

「なに?」

「痕はよせよ。」

「人にはいっぱい附けといて?」

榎本が笑うと土方も喉奥で笑い。口付けを啄むよう交わして、
鼻先どうしが触れる距離で言った

「もし、首を取られでもしてみろ。痕があったらみっともねぇ」


「ふ〜ん。じゃあ私の首が晒された時は、コレでいいの?」

「1週間もありゃ消える。それまでは、俺がアンタの首を護ってやるさ」

「君は、ホント見栄っ張りなうえに、自信家だね」

榎本は行動を再開し。腕を伸ばして土方の頭を抱き込むと、
肩口に顔を押し当て、思いっきりソコへ噛み付いた

「痛、バカ!おまッ…」

「君が万が一にも死なないようにしないと」

「やりやがったな…」

腹いせとばかりに鎖骨に犬歯を立てると榎本が上擦った声を挙げた。
硬直した躯を無視して腰に回した腕で土方の下に引き摺り寄せ、反対の掌で下腹部を弄る。

「…ッ…、」

闇のなか、湿った音と少し粗い吐息だけが響く。

「あぁ、辛かったら背中に縋っとけ」

組み敷く榎本の腕を持上げ背に誘導する。

「背中の爪痕なら、なにも男が恥る事ァねぇだろ?」

悪戯な微笑を浮かべるのを見て榎本はただ黙って緩く微笑み。
契りを交わす衝動に背中へ爪痕を深く刻んだ






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