土榎r-novel

□Ich brauche Ihre Hilfe.
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急激にのぼり詰めた射精感に意識を持っていかれそうになりながら
その例えようのない快感に身を委ねようとすると急に、ぐっと根元を握りこまれた。

「――ッア!!や、うあぁぁっ……!」

突然行く手を止められてしまった精液が下腹部で熱く渦を巻く。
そしてその握る力が余りにも強くて、パンパンに張り詰めた自身が痛みに勢いを削がれる。

「やっ、い、たい…っ!痛いっ!!ヤダ、嫌…っ!」

自分に覆い被さりその根元を握りこむ彼が、つまらないとばかりに鼻を鳴らしたのを聞いた。
衣服を全部剥かれて真っ裸の自分とは対照的に、彼はその仏国製の軍服は上着を脱いでるだけで一切の乱れがない。
そして何も言わずに自身の先端をぐりぐりと強く刺激してくる指先には手袋。
まるで汚い物のような扱いをされてるのに、その布地で擦られると一堪りも無い


「ひぁぁぁっ!!だ、だめっ、やだぁっ!!あ、あ、あぁぁぁ……っ!!」

片手はイクのを止めてるくせに、もう一方の手はそれを促すようにひたすら意地悪い刺激を与え続ける。
それが本当に辛いんだけど、でも同時に凄まじい快楽にも繋がっている。
でも痛いのは本当だから、とりあえず抵抗はやめない。……けど、実際の感覚よりはちょっとオーバーに声をあげる。
だってそのほうが彼は愉しいだろうから。
自分が抵抗すればするほど、痛がれば痛がるほど口の端を嫌味っぽく吊り上げて卑屈な笑いを浮かべてるのは、今は涙目で見えてなくても既に知ってる。

そして、今の彼の目にはいつもの輝きは欠片もなく。透き通った黒真珠みたいな色は暗く鈍く濁っていて、目つきなんてまるで鋭利なナイフのようで。
その手の動きは私を感じさせるためじゃなくて、泣かせるためにだけ動いている。一言で言えばただの暴力。
…それで感じてる自分も、いい加減に末期なんだろうけども。
逃げようとはしない。嫌だとも思わない。
別に、こういう酷い行為が好きなわけじゃないけど、目を背ける事を、していないだけ。
だって、彼がこういうことをする時が一体なにを意味しているのか、それをなんとなく分かっている気がするから。


夜中に突然部屋にやってきた彼に無理矢理押し倒され。何事かとあたふたしている間に服は全部引っぺがされて、あっと言う間に裸でベッドへ転がされた。
彼はずっと無言。私の目を見ようともせず、ただ肌に顔を埋めて強引に行為が開始された。
実は、こういうことはたまにある。本当にたまにだけど、今日みたいにいきなり現れた彼に有無を言わさず押し倒されて、ただひたすらに体を求められる事が。

決まって私の感情は完全無視で。引き際のタイミングは様々だけど、彼がイクか満足するまで体をいたぶった後、突然にその行為は終わりを迎えるだけ。
大体は一晩中抱き潰されることが多い。
そういう時、彼はいつも暗い目をしている。
日頃から目付きは厳しいし。仕事中はよく鉄のように冷たい目をしてる時もあるけど、それとは別で、
光の宿らない、意思も汲み取れないような感情を失った人形みたいな顔。
そして闇雲に、まるでその体内に蓄積された未曾有の黒い感情を叩きつけるかのように、めちゃくちゃに抱いてくる。
真面目でしっかりしている人間に見える程、中身は子供みたいに自分勝手で理解に苦しむようなぐちゃぐちゃしてるもんだと思った。
自分が好きになった男は理不尽だった。と今はもう吹っ切れてる程だけど。

軽い言い方をすれば、ストレス発散。とでも言うのかもしれないけど、多分これはそんな簡単な言葉では表せない。
見てはいけない彼の裏側。『鬼』とか『修羅』とか、『孤高の常勝将軍様』の彼に限って『絶対あるはずのない感情』に、違いない。


快感よりも痛みが勝ってきて、だいぶ射精感が遠のいたところで根元を握っていた手が離される。
先端を弄っていたもう一方もどかされて、今度は強引に脚を開かされた。
まずい、このまま挿れられるのかも。今日は全然慣らされてないし、この状態でされるがままに受け入れたらどんな惨事になるかわかったもんじゃない。
だからって今更どうすることも出来ないわけで。お願い、やめてなんて言ったところで、彼の胸に燻る黒い炎に油を差すだけ。

だったらせめて、少しでも自分が受ける肉体的苦痛と精神衛生上マシな方法を取るしかない。


「ひ、っ、土方く……っ」

圧し掛かる勢いの胸板を弱々しく押し返しながら呼ぶと、気付いた彼がちらっとこちらを見る。
これで今日初めて目を合わせられた。

「私が、するから……」

恐る恐る言えば相手の少し驚いたような表情。意外。無視されるかと思ったけど、ちゃんと耳に届いたみたいで。
その提案は特に気に障らなかったらしい。がばっと私の体を抱き起こして、彼はベッドの縁に座りその上を向かい合って跨ぐよう私を抱える。
後ろに触れる彼の先端が思った以上に熱くて、つ、と息を飲む。
彼は表情にこそ出していないが、ソレは先に進むのには支障無い程度には硬さがあって、
本来なら必要以上にちゃんと慣らさないと、とてもじゃないが挿れられるモノじゃない。
そもそもこっちだって受け入れられるように出来てる体でもないし。
このままじゃ絶対怪我する。死ぬほど痛いに決まってる。本当は挿れたくない。
でも、今日は自分ですると言ってしまったし。どっちみち最後までやらなきゃ今の状態の彼は納得してくれないし。
こんな時、いつも思う。
彼が普段はおくびにも出さない、出せないのだろう感情をこんな形で剥き出して訴えているのだから、それに自分も、自分の意思で応えてあげないといけない。って。



「…ッ、………ぅっ、い、い……っ!」

ゆっくりと体重をかけて体を落とすと、めり、と嫌な感覚と共に熱いその先端が埋まってくる。

…あっ、い、痛……ッ!うぅ、やっぱ、だめ、…っ、濡らしてもないのに、こんなの、入るわけ……っ!!
すると、先端を挿れただけで躊躇していた腰を掴んだ彼が、根元まで咥えさせるようにぐっ、と力いっぱいその手を押し下げる。

「……!?ひ、うあぁぁっ!?」

勢いで半分くらいは埋まったものの、そこには焼けるような熱と、本気で死ぬかと思うほどの酷く暴力的な痛みが伴った。
あまりのショックに一瞬意識が飛びかけたけど、意地でなんとか引き戻す。
いま気を失うわけにはいかない。彼がひとりぼっちになるから。救いを求めるのに彼は私を選んでくれた筈だから。側に居たいから。
その思いだけで今にも切れそうな理性の糸を必死に繋ぎ留め。
呼吸も満足に出来ない痛みに泣きそうになりながらもなんとか全部埋めることが出来た。
すぐにピストンが開始されるかと思いきや、意外にも彼は腰を掴んだままじっと止まっている。私が動くのを待っているのかな。
ふいに与えられた僅かな空白。少し不安を煽る。
直ぐに動かないともっと酷いことをされそうな気もしたけど、どうしても気になってふと相手の顔を見上げてみた。
彼はいまどんな顔をして、この時を感じているのだろう。

ふらつく目線の先にあったのは、さっきと変わらず暗い炎を灯した濁った瞳。
でも、見下ろすその表情が、辛そうに歪んでいる気がした。
痛くて苦しい今の自分よりも遥かに、泣きそう。と、思った。
たぶん、こんな行為をしている間も彼の心の中では色んな葛藤があるんだろう。
だって、こんなの彼も本意じゃないはず。
だから、今の自分に出来ることは、やっぱりひとつしか思い当たらない。
何もかも全部受け入れる事。それだけが、彼を救う唯一の手段だと思うから。









「痛い…か?」

「痛そうに、見える?」


大丈夫、平気だと言った。
なのに、ああ、なんで君が先に泣いちゃうんだろう








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またまた痛々しいモノに…(汗)
そして、またまたまたイかせてあげられなかった…←
裏なんて高度なモノ書くの苦手です。でも大好物なんです。





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