Serial-novel

□秘書は見た!大鳥奉行と
1ページ/1ページ


「…あっ、ちょ、ちょっと!そ、そんなとこ…だめって……んんっ!」

「ったく、相変わらず厭らしいな。こんなちっさい穴ピクピクさせやがって。そんなに気持ちいいのか?」

「…くっ、そ、そんなこと…あぁっ!」

「その割には体はずいぶんと正直だな?オラ」

「あぁっ!だ、だめ、ひぃ!そんなに掻き回しちゃ……っ、ぁ、あー!!」

「ハッ、この淫乱。」

「そ、そん……あっ!あっ、あっ、ああぁぁ〜……」





はい、みたびの登場です。大塚と申します。
もうね、ワザととしか思えんでしょうコレ。そうです。ワザとなんですよコレ。

先日は確かにアレでした。俺の勘違いかと思いきや、それが勘違いだったっていうオチでしたけどね。
しかし、そのつい一昨日にも再び同じ事があったんです。
いやもういい加減にしてくれって話なんですが。

今現在のように俺が総裁室の扉の前で、今現在のような御二人の如何わしい会話を聞いてしまったんです。
だから俺は、流石に二度も三度も遭遇するのはマズイだろうと思い、時間を空け出直そうと頭を返したその時、廊下をこちらへ歩いて来たのは大鳥奉行。
総裁室は奉行所の一番奥にあり廊下はここで行き止まり。廊下をこちらへ向かって歩いて来ると言う事は、総裁に用があるからで、
もちろん俺は直ぐに自分から歩み寄り大鳥奉行を止めました。

「あの、総裁は現在お取り込み中でして」

「え?先客?まいったなぁ、ちょいと急ぎだったんだが…」

「宜しければ俺が言伝てを預かりますよ」

「ん〜…今すぐ一つ確認して欲しいモノがなぁ…」

大鳥奉行はブツブツ呟きながら考え込み始め。
そして、先客って誰?と聞かれたから俺は、まあ大鳥奉行じゃなくても隠す必要は無いよな。と土方奉行並だと告げた途端、
この小柄ながら声が大きい奉行殿は盛大に声を上げた

「なにぃ!!土方君っ!?さっき珍しく部屋に居ないと思ったら、アイツはこんな所に居るのかっ!?」

ええええ!お、ぉお御奉行が奉行並をアイツって!?アイツって言ったぞ今!!
いつも会議や会話で土方奉行並が大鳥奉行の事をテメェとかヤロウとか言っているのは聞いた覚えはあるし、
大鳥奉行は訛りは別として言葉を殆ど崩さない人だと思っていたから驚く。
って言うか、この人いつも新選組からも土方奉行並からも手痛い仕打ちを受けてんでしょ?気を付けた方が身の為だと、俺は思う。
まぁ今は本人が聞いてないから構わないんだろうけど

って俺がなんか大鳥奉行の土方奉行並に対する影の一面を気にしている間に、
当の大鳥奉行はツカツかと俺の横を通り過ぎ真っ直ぐ廊下を進んでいく。

「あ、御奉行っ…!」

いやいやいや、だから、お二人はお取り込み中なんですって!!行ったらマズイですって!!
貴方また土方奉行並に睨まれますってっ!!
しかし俺の制止は間に合わず、大股で部屋の前に辿り着いた大鳥奉行は、観音開きの扉に両手を掛けた。

ちょ、せめてノックくらいしたらどうですか!!っていうか頼むからして下さいよっ!マナーでしょうがぁあああ!!!


「オイコラ釜次郎ォ!また土方君を連れ込んでるのかァアっ!」

あああなんで喧嘩腰ィ??
確かに総裁が奉行並を連れ込んでるのかもしれないが、それで簡単に連れ込まれてる奉行並ですよ?
もうダメだ、絶対コレ土方奉行並キレる。ぶちギレる。俺も絶対にとばっちりをくらうんだ。
だって部屋の奥では、また如何わしい大人の世界が盛大に繰り広げられているんだろうから。

そう俺は明日への希望すらも手放したのだが、



「五月蝿いなー。なに怒鳴り込んでんの?ノックもしないで」

「…何って言いたいのは僕の方だな。2人で何してんだよ…」

「あ?見て分かんねぇか?耳掻きだろうが」

なんと、この時は本当に俺の勘違いだった。お二人は部屋のソファーで耳掻きをしていたのだった。
いや、男同士で耳掃除し合うとか、総裁が奉行並に膝枕されているとか、なんかそう言う事を気にするのは今更だ。
取り敢えず今回は全て俺の勘違いで済んだ事に安堵しておかなくては。大鳥奉行と2人で×××(自主規制)を目撃してしまうとか余りにも気まずいだろうし。
じゃあ、本当に紛らわしいあの会話は何だったんだ。そう俺が聞くまでも無く、それは総裁が教えてくれた。奉行並の膝の上から

「いやー、耳掻きの快感をふざけて×××(自主規制)に例えてたら、なんか面白くなっちゃってさぁ。それっぽくあんあんしてたら楽しくてー」

「なんだそのふしだらで不愉快な遊びは」

「あ、圭介にも耳掻きしてあげよっか?このスパイラル綿棒、気持ちいいよ?」

「はぁ?ちょ待て、なんでアンタが大鳥さん膝枕してやるンだよ。ふざけんな。俺がしてやろうか?」

「いや僕は別に一言も頼んでないし。君、絶対に僕の耳を血だらけにする気だろ。嬲る気だろその微笑は」

「って言うか何しに来たの?何か用あったんじゃない?」

「あ、あぁそれがな…って、いい加減にちゃんと座れ。つーか離れたらどうだ」

「えー、イヤだ。だって、土方くんの膝枕だよ?煙草臭いし堅くて寝心地よくないけどね」

「知るかっ」

「文句言うなら退けろ」

「イヤだ。それでホラ圭介の用件はー…あぁコレねぇ…。大塚くん珈琲お願い」

「あ、はい…ただいま…」

あまりにも三人で会話が弾んでいて、俺がいるのは気付かれてないのかな?と、ちょっと不安になりかけたが、知ってたようだ。
そうか俺は空気扱いですか。いや秘書が過大に気にされるのもどうかと思うから構わないですけどね。
と言ってる間に、もう奉行並の膝から降りる気の無さそうな総裁を含めた三人は仕事の話を始めていて、
俺は取り敢えず静かに扉を閉じて珈琲を淹れに食堂へ向かった。

それより総裁すげぇ。
あの何事にも動じないというか動じようとしない神経。すげぇや。
総裁なら、きっとどんな男でも尻に敷けてしまえるんじゃないだろうか。うん。



で、漸く冒頭に戻りますが、一昨日は見事に俺の勘違いだったんです。
もうね、やっぱりワザととしか思えないんですよコレ。
幾ら何でもお二人だって、×××(自主規制)を何度も他人に覗かれたくはないでしょうし。
真っ昼間ですよ。確かに、総裁室には緊急とか滅多な事じゃないと人は飛び込んで来ないが、真っ昼間からそんな。
厳しいあの御奉行並だってそんな爛れた御仁では無いんだから。

今回は一体なんだろうか。まぁどうせマッサージとかそういう在り来たりなオチでしょう。
だから俺は、ノックを二回。そして扉のノブに手を掛け「失礼します」と声をかけた。




「あ、」












●●

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ