ロマンスの神様
□二人の弟
3ページ/9ページ
イキナリ復縁だとか。
今日、ずっと生き別れてた家族二人が帰って来ただとか。
アルフォンスは何も悪くないのに勝手に誤解して悪かったって事を謝っただとか。
とにかく今日はそういういろんな事が次から次へとありすぎたから今日一番のショッキングな出来事を思わず忘れていたけれど。
(そうだ…コイツ俺にキスして…しかも舌を…入れてきて…!)
エドは今、身の危険を察知していた。
昼間自分の唇を奪った弟が、現在ベッドの上で自分を組み敷いているからだ。
「アル…お、落ち着こう…?なっ?」
エドはなるべく刺激しないよう優しく話しかける。
久しぶりに会ったこの弟は何故だか酷くエドに執着していて、しかも突然何をしでかすか解らない危険な性格だからだ。
「酷いよ兄さん…僕はずっと兄さんの事だけを好きでいたのに…っ!」
「アル…」
「僕との約束忘れちゃうし手紙だって毎日書いて送ったのに一回も返事くれないし…自宅の電話番号も変わっちゃうし…っ…僕は寂しかったけど約束のためにずっと兄さんに会いに行くの我慢してたのに…兄さんは…兄さんはっ」
「ま、待てよ俺手紙なんて一回ももらったことねぇぞ!?」
「え…」
「俺宛ての手紙なんて何かの勧誘か携帯の請求書くらいしか…」
「嘘…ほんとに?」
「本当だ。そんな事初めて聞いたぞ」
エドは、それを聞いたアルの顔が少しづつ晴れていくのがわかった。
「じゃあ…無視されてたわけじゃなかったんだ…」
「そんな酷いことするわけないだろ?…だからアル、とりあえず…どこうぜ?」
「兄さん…」
ベッドの上で誰かにのしかかられるなんてどうも落ち着かなくて(実際この弟は何をするかわからないし)どうにかしてアルをどかそうとする。…が
「…キスさせてくれたらどく」
不意に聞こえてきた言葉に
「は?」
「キスさせて」
繰り返される要求に
「な…何で?」
エドの作り笑顔も思わずひきつった。
「何で?って…わからないの兄さん。僕兄さんのこと…『兄弟』としてじゃなくて…」
「あ、アル待…っ」
嫌な予感に、次の言葉を止めようとして…だめだった。
「恋愛対象として好きだから」
*