鋼
□世界で一番大好きだ!*
1ページ/18ページ
※シャンバラ後
「信じられない!兄さんの馬鹿!!」
「悪かったってアルフォンス〜」
クリスマスを後数日に控えた夜。俺はキッチンでアルと大喧嘩していた。
「僕めちゃくちゃ楽しみにしてたのに!」
「だ…だからこうして謝ってんだろ?」
まあ、大喧嘩といってもアルが一方的に怒ってて、俺はアルに怒鳴られながらひたすら謝ってるだけなんだけど。
「馬鹿馬鹿馬鹿、兄さんの馬鹿!!」
「悪かった!ごめん!堪忍して!!」
原因はそもそも今から数日前…俺の不注意だった。
***
俺たちは相変わらずウラニウム爆弾を探す旅を続けていた。
危ない思いをしたり辛い時もあったけど隣にアルがいたから全然へっちゃらだった。きっとアルも隣で同じ事を思っていたに違いない。
何せ俺たちは二人で一つ!俺といえばアル、アルといえば俺なのだ。
しかし旅を続けている以上、兄弟愛だけではどうにもならない問題が一つあった。
それは旅の資金だ。
国家錬金術師だった頃と違って、今は金が無くなれば自分たちでどうにかするしかない。
それ故旅の資金がなくなると俺たちは短期間だけ安アパートを借りて、その近辺でアルバイトをするのだ。
そしてある程度資金が貯まったら次の目的地へ……。そんな生活を送っていた。
ここへ辿り着いたのは約一ヶ月前。
その時もやっぱりいつも通り、旅の資金が底を尽きそうだったから、たまたま旅の途中で通りかかったこの街に滞在する事になったんだ。
一番ボロくて安いアパートを借りて、早速バイト先を見つけた。
俺は少し薄暗くて怪しげな通りの、小さなバーで雑用兼バーテンダーとして。アルはいくつも店が連なる大きな通りの、洒落た感じの服屋で接客なんかをする係りとして働く事になった。
*