□お店屋さんごっこ
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※幼少
アル君凶暴化
ウィンちゃん凶暴化




羊がベーベー、牛がモーモー。ニワトリは元気にコケコッコ。辺り一面には緑ばかりがどこまでも広がり、お日様の光を受けてキラキラしています。そんな、平和そのものといった感じのド田舎、リゼンブール村では今日も無邪気な子どもたちの笑顔が絶えません。

「はぁ?お店屋さんごっこぉ?」

その笑顔の一部に対して不満そうな声を上げたのはリゼンブール村で一、二番を争う悪ガキ…じゃなかった、いたずらっ子のエドワード君でした。エドワード君は目の前でニコニコ笑っている自分の弟、アルフォンス君と幼馴染のウィンリイちゃんに本気か?とでも言いたそうな顔を向けました。

「いいじゃない、お金とか作ってさぁ、自分がなりたいお店屋さんになるの!!」
「やろうよぉ、兄ちゃん。」

「ヤダよガキくせー。」

ガキくせー。と言いつつも、エドワード君は実際まだガ………小さくて愛らしい子どもです。今も小学校の帰り道で、教科書の入った小さな肩掛け鞄を腰にぶら下げています。義務教育の真っ最中です。ところでこの世界に義務教育なんてものがあるのかどうかなんていう突っ込みはナシです。

「何よ、気に食わないんだったらアルと二人でやるからいいもん。ねーっ。」
「ねーっ。」

エドワード君の目の前でアルフォンス君とウィンリイちゃんが顔を見合わせて楽しそうに首をこっくり傾げました。

「あたしクッキー屋さんやる!」
「僕はねー、えーとえーと…」

その時です。エドワード君の耳がピクリと、ウィンリイちゃんの言葉に反応しました。

「クッキー?…それって、本物の食えるクッキー?」

アルフォンス君とウィンリイちゃんはそのエドワード君の反応にニヤ、と笑いました。

「そうよ、ちゃーんと食べられるやつ、帰ってから焼くの。すっごいおいしいやつ!!」
「楽しみだなぁ〜。ウィンリイのクッキー。」

「………。」

エドワード君はムゥ、としかめっ面を浮かべました。思わぬクッキーの登場で何か頭の中で葛藤が生まれたようです。

「で、どうするの?エド?」
「兄ちゃん?」

ニコニコ、というよりニヤニヤする二人の顔が妙に気に食わないエドワード君でしたが、しばらくした後、

「………俺もやる」

小さくぼそりと、参加表明をしたのでした。




「あ。」

気が付くと三人はそれぞれの家へと続く別れ道に来ていました。

「じゃぁお昼食べた後にお店屋さん開始ね!」
「場所はどうする?」

「あたしん家の庭でいいでしょ?焼きたてクッキー用意するから!」
「オッケー、じゃ、またお昼の後でね〜!」

エドワード君とアルフォンス君はウィンリイちゃんに手を振って、お母さんとお昼ご飯の待つ家へと足を速めました。




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