□二十歳の誕生日*
2ページ/3ページ



兄さんと僕が繋がる愛しいそこは堅く堅く閉ざされていた。僕は舌でユルユルと愛撫する。

「あ、あっあ―――だ、だめだっ!!!」

…突然、顔面に痛みが走る。肌色が見える。

「痛いよ兄さん」

兄さんが僕の顔を蹴ったのだ。

「ダメ、ダメ、ダメだもう!やっぱりこんな事間違ってるんだ!!」

叫んで、兄さんは逃げるようにベッドから降りた。

「やっぱりこんな事するもんじゃない」
「怖いんだ、兄さん」

「お前の為に言ってるんだ!」
「兄さんの為でしょ」

「………とにかくもう、終わりだこんな…」

僕に背を向けて歩き出した兄さんの手首を掴む。

「アル、終わりだ」
「…冗談はやめてよ」

「冗談じゃ…っ!?」

そしてそのまま、引っ張って張り詰めた僕自身を触らせた。

「こんな事になってるのに今更止められるわけないだろ」
「は、離、せ…」

兄さんは自分が何を触らされているのか、見ようとしなかった。

「続きだよ、兄さん」


僕は兄さんを力ずくでベッドに引きずり戻した。

「………!」

兄さんは上にのしかかる僕を信じられない、という目つきで見上げている。

「優しくしたいんだ兄さん、お願いだよ」
「…ダ、ダメだアル…」

僕は再び指を、兄さんの入り口へと滑らせた。

「ダメ、ダメ!ダメだったら!!」

足をジタバタさせて兄さんは嫌がった。

「そこだけは、ダメだ!!頼むから止めてくれ!!」

切に訴える兄さんの目。今にも泣き出してしまいそうだ。

それなら、泣きたいのはむしろこっちだ。

「兄さん、そんなに僕が嫌?」
「嫌じゃない、嫌じゃない!!」

「じゃあ何、どうなの兄さん」
「愛してる…っ。愛してるんだ…!!でも…こんな事はしたくない…。俺は、お前とこんな関係になるのは嫌なんだ…」

「………」
「戻れなくなるよアル、やめよう…!」

「戻れなくなるなんて誰が決めたの?」
「だ、だって」


「大丈夫…今だけだよ、すぐ終わるから」
「アル!!」

「明日朝起きたらおはよう兄さんって言うよ。そしたら兄さんはおはようアルって言えばいい。それで元通りだ」
「そんな…」

僕はもう、兄さんの意志はこれっぽっちも聞き入れない事にした。

素早く手を、兄さんの足の間へ。

「兄さん、今夜だけだ。一回だけだよ。」
「アル…アル、待てよ、アルあ…っ!!」

さっきは優しくしてあげようと、ゆっくり慣らしていってあげようと思ってあまり力を入れなかった指。

だけど今は、一刻も早く入れてしまわなければと強引に押し入れた。

「痛………ぁっ!!」

兄さんは体を硬直させた。

歯を噛み締めて、苦しげに顔を歪めている。痛いんだ。

まぁ、ここは何かを受け入れるようにできていないのだから当たり前だ。…ましてや兄さんのここは未開拓なのだ…

それを、僕が今開拓する…

「兄さんイタイ?」
「…ったい…っ。ぬ、抜い…」

「じゃあよく、慣らしてあげないとね」
「…う、ぁ…っ!」

僕の指を受け入れさせた後は、兄さんはとても大人しくされるがままになった。


指で散々慣らして、ある程度兄さんのイイトコロを探り当ててから今度は僕を受け入れさせた。

指なんか比じゃない質量に兄さんはやっぱり苦しげで、そして、深く傷付いた様子だった。

最中はずっと泣いていた。

子どもみたいに、声も上げていた。

兄さんが泣く姿なんてかなり珍しくて、腰を振りながらずっと眺めていた。

僕の中で何かがこみ上げて来た。

それは罪悪感ではなく、圧倒的な征服感だった。

どうしようもない恍惚感と共に。









嗚呼









僕は今夜兄さんを、









唯一の家族を、









エドワード・エルリックを征服したのだ!









この僕が!!









*
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ