鋼
□雨の日に
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猫の事なんてどうでもいい。
今はただ外から絶え間なく聞こえるザーザー言う雨の音だけが煩わしかった。
「うるせぇな…雨足強まってんじゃねぇよ畜生…」
もそ、っとベッドの中で寝返りをうち、呻くように呟いた俺を、アルが心配そうに覗き込む。
「機械鎧が…痛むの?」
「…少しな」
「…」
アルの顔はシーツ被ってたから見えなかったけど雰囲気で、どんな顔してるかわかる。
「…ばぁか。気にしてんじゃねーよ。アルのくせに」
茶化すように言ってシーツから顔を出して笑ってやろうかと思ったけど…できなかった。
「アル…?」
あまりにもアルが真剣な顔してるから
「兄さん…見せて」
いつもみたいに
逃げられなかった。
*