xxxHOLIC

□事故
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間。




「………………………。」

五秒間程間が開いた。

シン、となった客間に直後、

「イヤッす―――――――――ッッ!!!!」

四月一日の叫び声が響いた。

百目鬼は両耳に指を突っ込んで大音量の直撃を回避しつつ、今日は両親共に出かけていて良かった、などとぼんやり思った。…まぁ、それだからこそ目の前の二人と一匹(正確には一モコナと数える)が酒盛りをしにやってきたわけだが。

「何で!俺が!こんな!百目鬼なんかを!下の名前でッッ!イヤッす!イヤ!絶対、絶対イヤですからねッッ!?」

侑子からの提案に対し、特にこれといったリアクションもなく次の酒を口に運ぶ百目鬼とは対照的に、四月一日は百目鬼を指差し腕をブンブン振りながら猛抗議を始めた。

「あのねぇ、本人たちが喜んでやりたがるような事は罰ゲームにならないでしょう?」

が、侑子からもっともな意見が返ってくると、うぐ、と言葉を詰まらせる。

「オイ、いつまでも文句ばっかりなんて男らしくないぞ!少しは百目鬼を見習え、4月1日と書いてワタヌキ!!」


しかし侑子の隣で楽しそうにピョコピョコ跳ねるモコナの存在に気付くと、勢いを取り戻して今度はモコナをビシリと指差す。

「じゃあモコナはっ?!モコナなんか酒注いだだけじゃないですかっ!?」

それに応えたのはモコナだった。

「モコナ、侑子に酒注ぐの死ぬ程嫌だった!でも頑張ったからモコナ偉い!!」
「ウソ吐けぇえ―――ッッ!!!」

四月一日の突っ込みは無視し、モコナは侑子に「モコナ偉ーい」などと言われながらイイコイイコされた。

「理不尽だ!こんなの理不尽だあああ!!」

頭を抱えて叫んだ四月一日は、ハッと思い出したように百目鬼を睨み付ける。

「ほら見ろ言わんこっちゃない!それもこれもお前のせいだからな!!」
「…何でそうなる」

「お前もちゃんと抗議してればこんな事には!!」
「…どの道変わらなかったと思うがな」

「何だと――――――ッッ!?」

百目鬼の首根っこを掴んでガクガク揺さぶりながら四月一日はギャンギャン喚いた。百目鬼の方はされるがままで、やはり気にする様子もない。…ただ、喚かれるのだけは堪えるのか両耳に指を突っ込んでいる。


「四月一日は何がそんなに嫌なの?」

不意に侑子が口を開いた。

「何がって…」

四月一日は百目鬼の首根っこを掴んだままピタリと動きを止め、顔だけ侑子に向ける。

「下の名前で呼び合うなんて何かいかにも仲良しみたいじゃないですか!だいたい、その、こいつの名前呼ぶのも気持ち悪いしっ!!」
「罰ゲームだと割り切れば良いじゃない。明日1日くらい我慢できないの?」

「できませんっ!…それにもし名前で呼び合ってるところをひまわりちゃんに見られたりしたらっ!!またあらぬ誤解を!!」

突然四月一日の脳内に憧れの女の子、九軒ひまわりが現れ、キラキラと笑顔を輝かせながらこう言った。

『名前で呼び合う事にしたの?百目鬼君と四月一日君てほんとに仲良しなんだね!』

「嫌だあああああああ!!!!」

四月一日は頭を抱えたまま激しく頭を左右に振って自分の妄想をかき消した。

侑子は四月一日の様子にふぅ、と溜め息を漏らす。

「もう、しょうがないわねぇ…」

四月一日は折れたような侑子の言葉にパッと顔を輝かせた。





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