ロマンスの神様

□予感
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※予告っぽい





鉄の棒が組み合わさってできたジャングルジムやうんてい、誰もいない砂場、そこに忘れられた小さな人形。すべてが燃えるように真っ赤に染まる公園。

地面にはそれらの影が黒く、夕日と反対方向に伸びている。




ぎい。ぎい。



ふと、錆付いた鉄の擦れる音、それから小さな話し声が静かだった公園に響いた。

音源は公園の入り口にあるブランコ。そしてそれに乗って体を揺らす、学校帰りと思しき、制服を着た少年二人。

「エドワードさん?」

先に話しかけたのは、少し長めの短髪を明るい金色に輝かせる、蒼い瞳の少年だった。

「えっ?あ、ごめん。ボーっとしてた。何?」

答えたのは、蒼い瞳の少年よりも少し深い金色の、長い髪を後ろで三つ編みにしている少年だ。少年の瞳は髪と同様に金色をしている。

「あの…もしかして体、どこか不調だったりします?」
「は?いや、別に?…何で?」

蒼い瞳の少年はキョトンとする金色の瞳に写る、自分の心配そうな顔を見た。

「…何だかここ最近…エドワードさん、変です。いつもボーっとしてて…。」
「…あぁ」

「何かあるなら、言ってほしいなあ、なんて…。」
「んーーーーー…。」

金色の瞳の少年は地面を見つめて少し唸った後、小さく、ボソリと、まるで独り言のように呟いた。

「…胸騒ぎ」
「え?」

「…よく、わかんないし、うまく言えないんだけど…。最近胸の奥ががざわざわするんだ。」
「ざわざわ?」

「まるで………ほら、よく言う、虫の知らせ、みたいな感じ。」
「…はあ。」

「母さんによくないこととか、起きなきゃいいんだけど」
「珍しいですね。エドワードさんがそういうこと言い出すなんて。…いつもは目に見えるものしか信じない主義のクセに。」

「たまには、悪いかよ」
「いいえ、全然。…むしろそういうこと、もっと普段から信じてくれたら怪奇特集とか、超能力特集の番組があった次の日に盛り上がれるんですけど」

「ばーか。あんなの絶対トリックがあるに決まってるだろ。」
「ほらぁ、エドワードさんすぐそれなんですもん」

「だってあれは…」




公園に響く仲良さ気な声が二つ。

空は雲一つ無い。

こんな平和そのものの夕方に、ほんのささいな違和感など、誰が本気で心配するだろうか。

砂場に置き去りにされた人形を、持ち主は思い出すのだろうか。









砂まみれの人形は全身を真っ赤に染めながらただ、何も言わず横たわっていた。









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