ロマンスの神様

□再会は突然に
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キーンコーンカーンコーン…


授業終了後の、ホームルームの終わりを告げるベルが校内に響いた。

すると校内中ほとんどすべての教室のドアが一斉に開き、そこからどやどやと生徒たちが吐き出される。

エドは、学校の二階にある、二年B組という札が入り口の上の方に刺さった教室の中にいた。早々に教室から出て行った生徒たちとは違い、部活などには所属せず、まったりと帰宅部を満喫している。

「エドワードさーん!」

しばらくすると、教室の出口付近から短い金髪に蒼い瞳を持つ少年に大きな声で名前を呼ばれ、幾人か親しい友人たちに別れを告げてそちらへ小走りして行った。

「んじゃ、帰るか。アルフォンス」
「はい」

アルフォンスと呼ばれた少年とエドは、並んで廊下を歩く。

歩きながら話すのは他愛も無い内容の会話。エドは自分より頭二つ分は高いアルフォンスの顔は見ずに、しかし機嫌よさ気に今日あった事を話している。アルフォンスは専ら聞き役に回り、うんうんと頷いては幸せそうに笑った。

二人は幼馴染みで、家が隣同士である。昔からとても仲が良く、何をするにもだいたい一緒だった。周りからはよく、本当の兄弟みたいだと言われていた。

ちなみに、アルフォンスの方がエドよりも一つ年下なのだが、背の高さも振舞いも、エドより大人びていて落ち着きがあり、穏やかな性格である。

エドはというと、逆に活発な性格で、年端のわりに喧嘩っ早く子供っぽいところがある。しかし、成績の方は意外にもいつもトップクラスで、ただの小さくてがきっぽい少年、というわけでもない。




「なぁアルフォンス、腹減らないか?」
「マックでも寄りますか?」

「いいねぇ」




ありふれた日常のひとコマ。

二人は、幼馴染みとして、親友として、何事もなく仲良く平和な毎日を過ごしていた。




普通の幼馴染みとして。




普通の親友として。




平穏な日常だった。




そう








彼がこの町に、




エドの元に帰ってくるまでは…




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