ロマンスの神様
□二人の弟
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「えっエドワードさん!?」
アルフォンスは突然自分の部屋に駆け込んできた隣人に驚いていた。
「ごめんアルフォンスッ!俺勝手に勘違いした!!」
エドは肩を激しく上下させながら一気にそれだけ叫ぶ。
「あ…あの…まず落ち着きましょう?」
「わ…わり…」
息を整えてからエドは今日あったことを簡単に説明した。
「それで…わざわざ僕のために走って来てくれたんですか?」
「だって…すぐに謝らねーと…俺…」
しゅんとなる姿がたまらなく愛おしくなって思わずアルフォンスはエドを抱きしめた。
「わっ」
「…ありがとう…」
さっきまで訳がわからないまま落ち込んでいたのが嘘のように幸せな自分に、つくづくエドへの想いを思い知らされる。
…と同時に自分にそっくりだというエドの弟の存在が気になった。
彼はエドにキスをした。それも深く…。…一体どういうつもりなのか。
「アルフォンス…」
エドを抱きしめたままそんな事を考えていたら、ふと腕の中から声がした。
「俺を殴れ。…等価交換だ。」
アルフォンスはエドらしい謝罪に苦笑し、直ぐに断る。
「いやです。僕はエドワードさんを傷つけたくないし…それにもし僕なりの等価交換があるとするなら…しばらくこのままでいてくれたら…」
「でもア…」
「いやいや、ないない。有り得ないから。すぐに離れて。」
エドがアルフォンスの名を呼び終わるまえに別の声が割り込む。
「え?…うわぁ!?」
二人がドアの方を見るといつの間にかエドの『弟』が腕組みに仁王立ちで二人を睨んでいた。
「君が…エドワードさんの弟…」
アルフォンスは離れるどころかエドを抱きしめる腕の力を強くした。
それに『弟』の目が細くなる。
「よろしく。僕アルフォンス・エルリック。…あぁ、一つ言っとくけど兄さんは僕の
ものだから。」
「「はぁ?!」」
突然の爆弾発言に二人は声をあげる。
「…いつまでひっついてるの?いい加減兄さんを離してよハイデリヒさん。……いくら容姿端麗だからって調子に乗らないでよね。」
「「エェーー?!;」」
*