ロマンスの神様
□印
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オレンジ色が淡い陰を作り出す静かな公園。
キィ…
少し錆びたブランコの音が二人分響いた。
「なぁ…お前さ…最近悩みとか…あるんじゃないか?」
「えっ?」
「朝も言ったけど…最近…お前何か変」
突然自分を気遣う話題に少し驚いたアルフォンスがエドを振り返るが、エドはいじけたような顔をしてうつむいていた。
「べ、別にないですよ」
アルフォンスは心配をかけまいとすぐさま否定する。…がエドは引き下がらなかった。
「嘘だ。お前何か隠してる」
「そんな事…。」
「…俺…お前にとって…そんなに頼りにならないか?」
しばらく間を置いて悔しそうにそう吐き出したエドは悲しげにアルフォンスを見上げる。
ドキン…
「エドワード…さん…」
吸い込まれそうな瞳。
触れたい唇。
「アルフォンス…?」
今なら二人きり。
「お〜い…?」
「エドワードさん」
(さっき釘をさされたけど。…こんなチャンスは滅多にないから)
アルフォンスは今朝自分の部屋で何度も繰り返した台詞を思い出す。
(あなたが好きですあなたが好きですあなたがす)
「お前アルの事…嫌いなのか?」
「いや、嫌いじゃなくてむしろ好きなんです」
アルフォンスは真面目に気持ちを伝えたつもりだった。
「えっマジ?ホントか?」
が、次の瞬間妙に寒い風がアルフォンスに容赦なく吹き付けた。
逆にエドの顔はみるみる明るくなる。
「あのっ違…っ!」
「何だ!俺てっきりお前がアルの事心底嫌ってるのかと思ってた!」
「あの…僕はっ」
「アルが来てから何かお前妙にひっついてくるしさ〜。」
ギクッ
「さ、寒くなってきたからね…」
「って俺は湯たんぽかよ!」
そう言って大笑いするエドにアルフォンスは自嘲気味に笑い返した。
(あぁ…何でこうなんだろう僕は…)
「アルフォンス、ほら」
そんなアルフォンスにエドは両手を広げて見せた。
「はっ?」
「来いよ」
「エドワードさん?!」
「寒いんだろ?」
「…っ」
アルフォンスは今なら死んでもいいと心の中で叫んでいた。
*