ロマンスの神様

□自動販売機
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「寒いなぁ」
「そうですね」
「冬だからね…」

薄暗く寒い学校の帰り道を三人は歩いていた。

「あれ?」

そしてふとエドがいつもと違うある物に気づく。

「こんなところに自販機あったっけ」
「あ、本当だ」


それは道端に置かれた新しい自動販売機。一見普通の自販機なのだが。

「ココアとミルクティーとお茶類と…」
「…何ですかこれ」
「おもしろいな」

よく見るとその自動販売機には普通のメニューの他に『運だめし』なるメニューがあった。

「あぁ。これってランダムにいろんな缶が入ってて何が出てくるかわかんないんだよね!」

「おもしれ〜!なぁっやろうぜ!」

それを見るなり目を輝かせたエドが二人の服の裾を引っ張る。

「「…」」

二人がそんなエドに勝てる筈もなく。

三人はジャンケンをして勝ったもの順に運だめしをする事になった。

一番手アル。

ピッ
ガチャン

「…ココアだ。」
「普通だな」
「まぁそんなもんでしょうね」


二番手アルフォンス。

ピッ
ガチャン

「紅茶…ですね」
「普通だな…」
「次は兄さんだね」


三番手エド。

ピッ
ガチャン

「ぅわ!」

「こっ…これは!」

「すごいっ!」


エドが手にしているモノ…それは

「おでん缶だ!!」

しかも冷え冷えの。

「良かったね兄さん!」
「げー!!何で俺だけおでんなんだよ!メニューにないじゃん!つか冷てぇしっ」
「あれ、こーゆうのが欲しかったんじゃないんですか?」

一人だけハズレを引いたエドに二人がニヤニヤしながら自分たちの缶を開けて飲み出すとエドがいじけた声を出した。

「…二人だけずりぃ」
「何言ってるのさ。言い出しっぺは兄さんのくせに♪」

「くそっもう一回だ!」

エド、二度目の挑戦。

ピッ
ガチャン

「おしるこ…っ」

しかも冷え冷え。


三度目


ピッ
ガチャン


「コーンスープッ」

しかも冷え冷え…


「ふふふふ…」


冷えた缶たちを抱きしめるエドの。

その闘争心に火が点いてしまった。




*
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