ロマンスの神様

□片思い
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「な、何だと!?それってマジか?!」

朝一番エドのクラスの教室中にピットの明るい声が響いた。

「あぁ。結局バイトが一緒だったってだけだってさ」
「あっはっは!俺もそーじゃないかと思ってたんだ実は!」

「…よくゆーよ…お前散々落ち込んどいて…」

エドは呆れた視線をピットに向ける。

「…あー良かった。本当良かった!!」

そんなエドの視線に気づいてかピットはごまかすようにやけに元気に振る舞った。


…と、その時。



「あれ?」


ピットが窓の外を見て突然声を上げる。

「どうした?」


つられてエドも窓を覗いてみた。

しばらく視線を泳がせてある一点に目をとめる。


「あ。」


校庭の隅の大きな木の下に知らない女の子と、自分の弟がいたからだった。

「何やってんだあいつ」


エドが首を傾げていると隣でピットがニヤリと笑った。


「お前鈍っ!!だから彼女できねえんだよ!!」
「お前だっていねーだろが!!」
「俺はウィンリイ一筋なんだよ!!…つかそーじゃなくて弟だ弟!!」

「アルが何なんだよ」

訳がわからないといった感じのエドにピットは意味あり気な顔をするとビシッと断言した。

「ありゃあ告白だな」
「告白ぅ?」

「木の下で二人きりったら告白するかされるかだろ普通!」

「ふーん。そんなもんか?興味ねー。」

エドは興味なさげに流そうとするがピットはさせなかった。

「何だよこんな時は賭けだろ賭け!!くっつくかくっつかないか!!」

張り切って言うピットに今度はエドがニヤリとした。


「…いいぜ。くっつかない方に1000円。」

「じゃあ俺はくっつく方に1000円だ!賭けで勝つ方法はお前の意見の逆につくに限る!!」

「へっ、言ってろ。」

エドは何のスリルもない賭けに一人心の中で笑うのだった。





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