ロマンスの神様

□風邪
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「おかえりなさ…はっくしゅ!!」


エドとアルが帰宅すると出迎えてくれたのはいつもの笑顔の母ではなく…


「はっくしゅん!」

辛そうにくしゃみを連発する母であった。


「かっ母さん?!」


エドはそんな母に驚き心配しながら思わず隣のアルに疑いの眼差しを向ける。



「…アル」

「ちっ…違うよ!」


睨まれたアルはブンブン手と頭を振って否認した。


アルには以前母が猫アレルギーなのを承知の上で猫を拾って来たという前科があるからだった。


「ごめんなさい二人とも。お母さん風邪ひいちゃったみたいなの…くしゅっ今日は何か適当に出前でも…はっくしゅんっ!!」


「「母さん!!」」

「もういいよ母さん!!」

「飯くらい何とかするからもう休んでくれよ!!」


そう言って二人は母を寝室まで連行すると布団の中に押し込んだ。


「…熱まである。兄さん、父さんが来るまで夕飯は良いとして…僕とりあえず母さんにおかゆでも作るから氷嚢か…濡れタオルみたいなのお願い」

「わかった!」


アルはエドにテキパキと指示を下しさっさとキッチンへ行ってしまった。









しばらくしてエドはアルに言われた通り氷嚢を用意すると母のいつもより熱い額にそっと乗せた。


「冷たくて…すごく気持ち良いわ…ありがとうエドワ…くしゅっ」

「母さん今アルがおかゆ作ってるからそれまでゆっくり寝ててくれよな」

「ありがとう…」



パタン。



エドは寝室から出るとアルがいるであろうキッチンへ向かった。


「あ。兄さん」

「うまそうなにおい…」


「もうすぐできるよ」


「「…」」


グツグツ言っている土鍋の前で二人は母を想った。


「母さんすぐ治るといいな…」

「こんな時は誰かにうつしちゃうのが良いらしいけどね」

「馬ぁ鹿。それは迷信だろ?」


エドは少し呆れつつも小さく笑った。






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