ロマンスの神様
□あけおめ
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「うわ〜人込んでんなぁ」
「すごいね…」
「エドワードさん、はぐれないように気をつけて下さいね?」
只今エド、アル、アルフォンスは初詣に来ていた。
辺りは一面人、人、人。
人の海と化している。
賽銭箱がある場所に通じる道の両端にはずらりと屋台が並んでいて、エドはフラフラとそれらに引き寄せられていくがそのたびに
「神様への挨拶が先!」
とアルにお叱りを受けてしまうのであった。
「まったく兄さんたら何歳になったのさ」
「ちぇ…だって…」
「だってじゃないの!」
「まぁまぁ二人とも。ほら、それより今のうちに小銭出しておきましょう?」
賽銭を投げる行列に並びながらアルフォンスはやんわりと二人を宥める。
「そうだな」
「僕15円出そうかな!重々ご縁がありますようにって♪」
「あ、僕も…」
三人が和気あいあいと願い事の事やら今年の目標やらを話し合っていると思ったよりはやく自分たちの順番がやってきた。
ガラガラガラガラ。
賽銭箱の真上に吊された大きな鈴を鳴らし、パンパンッと手を鳴らしてからそれぞれの願い事を心の中で念じる。
(俺の身長180センチ伸びろ!!)
(兄さんと★★★兄さんと★★★…!)
(エドワードさんと両想いになれますように!)
「何お願いした?」
念じ終わったアルが爽やか笑顔を他の二人に向けると
「お、俺は…えぇとおこずかいUPだ」
「ぼ、僕は…ずっと皆で仲良くできますように…」
二人のぎこちない笑顔が返ってきた。
「アルは?」
「僕?」
聞き返されたアルはエドの目を真っ直ぐに見てスパッとこう言った。
「無病息災!」
*