ロマンスの神様

□すちらゅ。
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「ハイデリヒくん♪」
「何?」

アルフォンスが廊下をせっせと掃除していると、突然後ろから女子に声をかけられた。

「あのねぇ、あたしねぇ…うふっ」
「…何なの?」

話しかけた女子は頬を赤らめてもじもじしながら上目使いにアルフォンスを見つめている。
アルフォンスがきょとんとしながらその様子をしばらく見ていると女子がポソッと何かを呟いた。

「…ゅv」
「え?ごめん何?」

キチンと聞き取れなかったアルフォンスが聞き返すと、女子は今度はハッキリと、こう口にした。

「だかゃぁ、あたしぃ、ハイデリヒ君がすちらゅっv」

「『スチラユ?』…って何それ?」
「すちらゅはすちらゅだかゃ…何回もいわせないれょっ!!恥ずかひぃれひょ〜!も〜も〜まびぱね〜!」
「???」



「ねぇっお返事はっ?」











「馬鹿だなぁ〜」
「…いたた…っでも殴るなんてヒドくない?」

「でもハイデリヒさんも女の子から告白されてるのに『日本語で喋ってくれない?』はないよ」

アルはエドを迎えに行くため二年生の教室がある廊下を歩きながら、隣で腫れた頬に手を置くアルフォンスに何とも言い難い視線を送った。

「告白だったなんて気付かなかったんだよ…てゆうか何言ってるかもよくわからなかったし…アル君は『すちらゅ』って意味知ってたの?」
「『すきだよ』って意味でしょ?最近流行ってるんだよそーゆう言葉。男子でもメールだと使ったりするし」

「…でも告白の時くらいは普通に言ってくれたら良いのに…はぁ。痛い…」

「…運が悪かったね」

「全くね…」

ガックリと肩を落としながらトボトボと歩いている時アルフォンスの頭にふとある考えが浮かんだ。

(エドワードさんは…この言葉の意味知ってるのかな…)


ほわん。とアルフォンスが一人頬を赤く染めた時、ちょうどエドのいる教室の前にたどり着く。

エドはまだこちらに気づいていないらしくピットと何やら雑談を楽しんでいた。




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